月や季節ごとのアノマリーに関する相場格言
株式市場には数多くの格言が存在し、投資家たちに重要な教訓を提供してきました。
こういった格言は基本的に先人達の経験則から述べられているものなので、これらを知っておくことで相場で有利に立ち回れることが出来るようになります。
本記事では月や季節ごとのアノマリーに関する相場格言を紹介し、その意味について簡単に解説しています。
- 1月効果(12月末~1月上旬)
- 節分天井(2月上旬)
- 春の彼岸底(3月中旬)
- 4月相場(4月上旬~5月初旬)
- セル・イン・メイ (4月末~5月上旬)
- 夏枯れ相場(7月上旬~8月末)
- 秋の彼岸底(9月下旬)
- ハロウィン効果(10月末)
- 11月最終週は高い(11月下旬)
- 節税売り(12月初旬~中旬)
- 掉尾の一振(12月最終週)
アノマリーとは
それぞれのアノマリーについて解説する前に「そもそもアノマリーって何」っていう人のために簡単に解説しておきます。
投資の世界における「アノマリー」というのは「理論的に明確な説明が付く訳ではないが、経験則として多くの人が体感している規則性」となります。
ただの経験則なので絶対に発生するわけではありませんが、無視できない程度には起きる現象であり、このアノマリーを活用することで儲けようとする人も大勢います。
もちろん、起きない可能性も十分にありますので、アノマリーを絶対視せずに相場における判断は自分自身で行う必要があることは理解してください。
個別のアノマリーは以降で順に解説していきますが、それぞれのアノマリーをまとめたイメージが以下となります。
上記のアノマリー画像は以下サイトのものを引用しています。
アノマリー – 株式・証券関連用語集 | お客さまサポート | 岡三オンライン-岡三証券株式会社が提供するネット証券サービス (okasan-online.co.jp)
この画像から大体の季節感が分かる通り、相場で安く変える時期は2月、8月、9月、10月、11月頃で、逆に相場で高く売れる時期は4月、5月、12月頃になります。
なので、アノマリーを意識して儲けようとする人は10月から11月頃に仕込んで、5月初旬前後に売るというサイクルを繰り返している人が結構いるらしいです。
まぁ、個別銘柄単位で見た場合はそれぞれの材料に大きく影響されるため、どちらかというとインデックス投資や大型株投資向きの戦略にはなると思います。
1月効果(1月上旬)
このアノマリーは「12月末から1月上旬に株価は上がりやすい」というものです。
12月末に関しては「掉尾の一振」という別のアノマリーが有りますが、アノマリーが発生する大きな理由はほぼ同じと考えられています。
12月の上旬から中旬まではヘッジファンドや大口の投資家が税金対策のために損益を確定させるための売り注文を多く行う傾向があります。
しかし、12月の最終週頃に入れば損益を確定させたヘッジファンドや大口投資家が買いで入ってくるため、1月上旬頃までは継続して株価が上がりやすくなることから、このアノマリーが生まれたようです。
節分天井(2月上旬)
1月効果で株価の上昇があった場合、大体の目安として2月上旬(節分頃まで)まで上げ相場が続きます。これを「節分天井」のアノマリーと言います。
その後は「彼岸底」に向けて下げ始める傾向があるため、節分のタイミングで一度持ち株を売り払って、1か月後に買いなおすというのも戦略としては有りだと思います。
春の彼岸底(3月中旬)
節分天井後は3月決算に向けた調整が続き、2月上旬から春の彼岸である3月中旬頃までは下げ相場が続く傾向を「彼岸底」のアノマリーと言います。
「彼岸底」は春と秋の2回あるため、今回はそれぞれを区別するために「春の彼岸底」という名称にしています。
ただし、このアノマリーはそこまで信頼性が高くなく、2月から3月までに特に下げトレンドが起きないことは結構多いとか。
結局は3月決算に向けた調整が原因と思われているので、決算の予想が良いかどうかは個別企業に依存しますし、経済状況全体も影響するので他のアノマリーと比べるとそこまで気にする必要は無いかもしれません。
4月高、こいのぼり天井(4月上旬~5月初旬)
これは主に日本株のみのアノマリーですが、4月上旬から株価は上昇傾向が始まり、5月5日の端午の節句に天井となることが多いため「4月高、こいのぼり天井」と呼ばれています。
これは4月は年度の始まりということで、様々な機関投資家が新年度の戦略を立てることで、新資金が市場に流入してくることで株高になりやすいのが理由です。
また米国の確定申告時期と重なるため、投資意欲旺盛な米国人の資金が流入しやすいのも大きな理由として挙げられています。
Sell in May/セル・イン・メイ (4月末~5月上旬)
株式市場に関するアノマリーの中でも一番有名なのが「Sell in May(5月に売れ!)」だと思います。
これは4月末~5月上旬頃に株価は一旦天井を迎え、その後は夏枯れ相場等の下落トレンドに入ってしまうため、5月中には持ち株を全て売ってしまう方が良いという意味のアノマリーです。
実際過去の相場を見ても高い確率で4月末~5月上旬頃に日経平均は高値を迎えた後に、その後は11月頃まで低迷を続ける傾向が多くあります。
なので、このアノマリーは他のアノマリーと比べても比較的信頼性が高いものであることは覚えておいてください。
ちなみに元はイギリスの相場格言で正式には「Sell in May, and go away,don't come back until St Leger day.」(5月に売ってどこかに行っていろ、セント・レジャー・デイまで戻ってくるな)となります。
「セント・レジャー・デイ」というのはイギリスで毎年9月に行われている競馬のレースにちなんだものであり、この格言の真意としては「9月に買って5月に売れ」ということになります。
この格言が出来た当時のイギリスでは9月が一番安くて買い時のタイミングだったのでしょう。現代の日本で言うならば10月~11月頃が買いの目安とされていますので、「11月に買って5月に売れ」という人は結構多くいます。
夏枯れ相場(7月上旬~8月末)
このアノマリーは「Sell in May」に次いで有名だと思いますが、7月~8月の夏休み時期に株式市場は閑散期に入るため、出来高が減って株価も下降トレンドになることを表しています。
理由としては日本人がこの時期に夏休みに入るのと同様に海外も夏休みに入るため、多くの投資家は休暇を取って旅行等に出かけることで、市場参加者自体が全体的に少なくなるからだと言われています。
「Sell in May」の格言も5月以降はこういった下げ相場が予想されるために早めに売れと言っている訳ですね。
逆にこのタイミングは仕込み時期としては悪くないとは言われています。特に8月後半はそのような考えを持つ人が出てきて、少し相場が上がってくる傾向があります。
尚、昔はこのアノマリーはかなり顕著だったようですが、近年はインターネット取引の普及等の要因でそこまで分かりやすい下降トレンドにはならない傾向もあります。
秋の彼岸底(9月下旬)
「夏枯れ相場」に続く9月~10月頃も株式市場は下降トレンドが続きやすいとされていますが、アノマリーとして9月下旬にある秋分の日が底の目安とされ、「彼岸底」と呼ばれています。
「彼岸底」は春と秋にあるため、本記事では区別するために「秋の彼岸底」と呼んでいます。
5月後半から続く下降トレンドは一旦この時期付近で終わりの目安となり、10月末の「ハロウィン効果」のアノマリーもあることから、10月~11月は株の仕込み時期とされることが多いです。
ハロウィン効果(10月末)
このアノマリーは10月31日のハロウィンを境にして株式相場が上昇トレンドに転換する傾向があるというものです。
「秋の彼岸底」付近が5月後半以降続いていた下げトレンドの目安で、そこからは一定のもみ合いを繰り返しながら、10月末でトレンドが反転して上げ相場に入っていくということですね。
このことから10月末は株の絶好の仕込み場として有名で、多くの投資家は10月末から11月前半にかけて欲しい株があるなら仕込むべきだと言っています。
ハロウィン頃にトレンド転換する理由は明確には分かっていませんが、欧米のヘッジファンドの決算が11月に集中していることが関係しているとか。
11月最終週は高い(11月下旬)
「ハロウィン効果」によって上昇トレンドに入った市場は「11月最終週は高い」のアノマリーが指すように、11月最終週が一旦天井となる傾向があります。
これは次のアノマリーである「節税売り」が12月の上旬から中旬にかけて入ってくるためであり、12月の前半は株価が下落しやすい傾向が強いのです。
そのため、10月末に仕込んだ株は11月最終周に一度売って起き、12月中旬頃に買いなおすというのも一つの戦略となってきます。
節税売り(12月初旬~中旬)
12月に入ると一年間の損益を確定させる必要があるため、大口の投資家が持ち株を売却することが非常に多くなることから、12月には「節税売り」が起きるというアノマリーが出来ました。
これは株式投資の税金の仕組みが起因しています。基本的に株式投資の税金は「年間の利益」に対して掛かるものであり、一律約20%です。
しかし、この「年間の利益」には銘柄を保有している状態の「含み益」と「含み損」は含まれないのです。
この仕組み上、「年間の利益」が少なくなれば支払う税金は少なくなります。そのため、「含み損」となっている銘柄を売却して、マイナスを確定させれば「年間の利益」を抑えることが出来ます。
そして、「含み損」の銘柄を売却してすぐに買い直すことでポジションは変わらずに、支払う税金だけを下げることが出来るので、投資家にとってこの「節税売り」は必須テクニックの一つとなっています。
逆に「含み益」の銘柄は年を跨いで売却しても税金がどちらの年で支払うかが変わるだけなので、基本的に節税対策にはなりませんが、「利益確定」のために売られることが結構あります。
12月はこのような「節税売り」が必ず出てくるため、12月上旬から中旬はかなり高い確率で下げトレンドになるため、このアノマリーが出来上がったと言う訳ですね。
掉尾の一振(12月最終週)
「掉尾の一振(とうびのいっしん)」は年末の1週間は株価が大きく上昇しやすいというアノマリーです。
「節税売り」をしていた大口投資家達が再度ポジションを取り直すことで、年末の最終週から1月の最初の週は株価が大きく上昇する傾向があるというのが発生理由です。
「掉尾」という言葉は「物事の終わりに勢い付くこと」で「一振」は「一振りする」という意味であり、「掉尾の一振」は「1年の最後に相場が勢いづく一振りがある」という意味ですね。
これは1年間の終わりをきれいに迎えたいという投資家の期待が込められているアノマリーではあるのですが、比較的信頼性の高い(再現率の高い)アノマリーとされています。
まとめ
今回は月や季節ごとのアノマリーに関する相場格言を紹介しました。
こういった格言を事前に知っておけば、どれだけ荒れた相場でも必ず乗り越えられると思いますので、売買をする際には必ず思い出すようにしてください。
以前、投資の基礎知識についても以下の記事で解説していますので、投資の基礎を知りたいという方は閲覧ください。
それでは次の記事も閲覧いただけると幸いです。
https://senkohome.com/investment-fundamentals-stocks-crypto-nisa/
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