Steamで自作ゲームを販売するための方法について
本記事は個人ゲーム開発者やインディー開発者がSteamで自作ゲームを販売するための方法について解説するものです。
個人でゲーム開発をしている人(もしくはインディー開発)は、無料のフリーゲームとして公開するか、もしくは有料ゲームとして公開するかを事前に決めていると思います。
フリーゲームとして公開する場合は、ふりーむ・フリーゲーム夢現・Vectorといった昔からあるプラットフォームや、最近では PLiCy・itch.io・BOOTH・Ci-en といったプラットフォームで公開する人もかなり増えてきた印象です。
そして、有料ゲームとして公開する際に真っ先に候補となってくるのが今回紹介する「Steam」です。
もちろんこれはPC向けゲームの話であって、スマートフォン向けのゲームであれば有料・無料問わずに、 Google PlayやApp Storeが公開場所の最有力候補となるでしょう。
Steam以外にも有料でゲームを公開するプラットフォームとして、日本人向けならDLsiteやDMM、海外向けならEpic Games Storeやitch.io等もありますが、規模的にも販売機会的にもSteamが最有力のため、とりあえずはSteamに出しておけば間違いないといった状態です。
今回はSteamでの販売方法を紹介する記事なので、どのプラットフォームが良いのかといった点について詳しく触れませんが、今後別で記事にしたいとは考えています。
そもそもSteamとは

この記事を読んでいる人でSteamを知らないという人は基本的に居ないであろうとは思うのですが、簡単に説明しておきます。
Steam(スチーム)はアメリカの会社Valve Corporation(Valve社)が2003年にサービスを開始し、現在(2025年9月時点)まで運営されています。
サービスの内容としては、主にPCゲームやPCソフトのダウンロード販売を行っており、レビューやワークショップなどの機能も充実していて、純粋な販売所(ショップ)としての役割だけでなく、一つのコミュニティとして成立しているのが特徴と言えます。
サービスの開始当初はValve社のゲームを遊ぶために必要なだけのものでしたが、徐々に他社のゲームや個人開発のゲーム等の取り扱いが増えていき、今では世界中の大手企業のゲームやインディーゲームが集まる巨大プラットフォームへと進化しています。
Steamが急成長した背景として、当時PCゲームやソフトはパッケージ販売(実物の販売)が一般的でダウンロード販売は少数派でしたが、時代が進むにつれてダウンロード販売が一般的になり、そのダウンロード販売の需要の多くをSteamが担ったことで業界のデファクトスタンダードになったからだと言われています。
同じようなサービスは世界中に数多く出来ましたが、現状Steamは規模が頭一つ抜けている状態であり、PCゲームやソフトのダウンロード販売をするなら(もしくは購入するなら)Steamという認識が多くのユーザーの中で一般的になっています。
そのため、個人開発やインディー開発で制作したゲームを有料で販売したい場合は、Steamで販売するための方法をしっかりと理解しておく必要があるのです。
・・・ちなみに今の若い人たちは信じられないかもしれませんが、昔はゲームを買って遊び終わったら中古ショップに売るという人が結構いました(今でもそれなりにいるかも)。
なので、ダウンロード販売という販売方法が出た当初は、中古ショップに売ることも出来ないゲームを買う奴はいないだろ~くらいの温度感で見ている人が非常に多く、現在のようにダウンロード販売が中心となる世の中は想像されていませんでした。
こういった世の中の常識を覆したことでSteamは業界最大手の立ち位置にまで成長したというのは、個人的にはかなり凄いことだと感じていますね~。
Steamで販売するために必要な事前知識
それでは、Steamでの販売方法の手順を解説していきます・・・と言いたいところですが、その前に事前に知っておく必要がある知識がいくつかありますので、それを解説しておきます。
①販売するゲーム1つごとに$100(現在の円換算15,000円くらい)のデポジットが必要
②銀行口座、マイナンバー、身分証明書とそれを持った自撮り等が必要
③最短でも登録から1ヶ月以上経たないと販売は出来ない
④正直な話、Steamで販売するのは凄まじく大変な作業が必要です・・
この中で①は純粋な費用面の話ですが、②は個人情報に関しての話、③は販売開始までに必要となる期間の話となります。
これらについて事前に理解しておかないと、せっかくSteamでの作業を進めたのに途中で挫折したということになりかねませんので。
①販売するゲーム1つごとに100ドルのデポジットが必要
Steamでゲームやソフトの販売を行うためには、Steamworksの配信プログラムに参加する必要があります。
このSteamworksの配信プログラムに参加するためのデポジット(保証金)として、 $100 (現在の円換算1万5,000円くらい)を最初に支払う必要があります。
そして、1つ目のゲームはこの登録時に支払ったデポジットで問題ないのですが、2つ目のゲームを販売しようとすると、また$100の支払が必要となります。
3つ目、4つ目の販売時なども同じで、 Steamではゲームを1つ販売するためには毎回$100の支払が必要となるということをあらかじめ理解しておく必要があります。
これは恐らく、いたずら・スパム・詐欺などを防ぐために導入している制度と考えられ、それぞれごとのゲームの売上が$1,000(現在の円換算15万円くらい)を超えれば、開発者に返金される仕組みとなっています。
つまりは、リリースするゲームごとに最低でも$1,000(現在の円換算15万円くらい)の売上を出せなければ、赤字になる可能性があるということです。
個人開発のゲームで$1,000を超える売上を出せるのは少し厳しいかもしれませんが、逆にこれくらい超えられなければ、販売する価値は薄いゲームということなのかもしれませんね…。
②銀行口座、マイナンバー、身分証明書とそれを持った自撮り等が必要
人によってはかなり致命的な欠点となるのが、個人情報の中でもかなりきつい部類に入る以下のような情報をSteam側に提示する必要があります。
・銀行口座(Steamからの振込を受け取るため)
・マイナンバー(Tin確認のため) ※Tinは納税者番号のこと
・身分証明書(パスポートor運転免許証)
・身分証明書を持った自撮り(なりすまし登録防止のためと思われる)
銀行口座は利益を受け取るために必要なので当然ですが、それ以外のかなりセンシティブな個人情報もSteam側に提示する必要があります。
マイナンバーや身分証明書は最悪仕方がないと割り切れる人も多いでしょうが、自撮り写真を送らなければいけないというのが、人によってはかなりの拒否感を示すと思います。
もし、Steamが個人情報を流出すれば、上で入力したような情報はすべて世界中に流れてしまう訳なので、最悪の場合はその可能性を受け入れられるという人がSteamでの販売をすることが出来るということになりますね。
③最短でも登録から1ヶ月以上経たないと販売は出来ない
すでにゲームを作成済みの人は他の販売サイトに出すのと同じ感覚で、すぐにSteamで販売を開始したいと考えているかもしれませんが、Steamで販売開始するためにはそれなりの時間が必要です。
その理由としては、Steam登録後にいくつかの待機期間があるためなのですが、具体的な例としては以下のものがあります。
・デポジットの入金から30日日間(21日?)の待機期間が必要
・ストアページとゲームのビルド審査に2~5営業日の時間が必要
・ストアページ公開後から販売までに最低2週間の時間が必要
※各期間はSteamworks内でも表記揺れがあるので、目安程度に考えておいてください
ただ、待機と言っても別にSteam関連の操作が全て出来ないということではなく、販売開始が出来ないだけで、その他のストアページの準備などは進めることが出来ます。
なので、最短で販売開始したいという人に対する、一番長い待機期間として30日必要ということだけ、覚えておけばそこまで意識する必要は無いと思います。
とは言え、他の作業も現実的にすべて最短で完了するということはありえませんので、どれだけ早くても1ヶ月以上、基本的には2ヶ月程度は販売までに掛かってしまうということになります。
こういった理由から、実際に自分が作成したゲームを販売しようと考えると結構な時間が掛かってしまいますので、最低でも販売開始したい日の2ヶ月前(余裕があれば半年以上前)からストアページを準備するのが主流のようです。
④Steamで販売するのは凄まじく大変な作業が必要です
こういう主観的な話を注意事項に入れるべきかは迷いましたが、体感したからこそ言えるのはSteamでゲームを販売するのはめちゃくちゃ大変だということです。
Steamworksの登録自体も大変ですが、いちばん大変なのはストアページの準備と公開になるでしょう。
入力内容が非常に多いうえに、専用の画像やトレーラーの準備が必要となってくるため、それらを準備するだけでもかなりの時間がかかります。
また、ローカライズ対応として英語版にも対応したいと考えている人はそれなりに居ると思いますが、英語などの他言語用にそれぞれ別画像や別文章などを用意する必要があり、言語ごとに作業量が更に増えます。
そのため、必ずSteamに出すんだ!という強い思いを持った人でなければ、途中で挫折する可能性が極めて高いと思います。
もし、スグにでもSteam販売をしてみたいという方は、実際にSteamで販売するまでの作業を始める前に、次から解説する①②の手順だけでも最初に軽く目を通してみてください。
そこに書かれているだけの作業量が必要ということを理解したうえで、それでもSteamに挑戦してみたいという人が実際の作業を進めてもらえれば良いかと思います。
Steam でゲームを販売するための手順
それでは、ここから具体的にSteamでゲームを販売するための手順について解説していきます。
手順としては大きく以下のステップが必要となります。
①Steamworksの配信プログラムに参加する(最初の1回のみ)
②ストアページの準備と公開(ゲームごとに必要)
③ゲームビルド(体験版やゲームのバージョンアップの度に必要)
④ゲームのリリース
それそれの方法については個別で詳細に解説したいと思いますが、大きく分けるとこの4つと覚えておけば良いかと思います。
尚、本手順は2025年9月に実際に私が登録した際の手順となりますので、Steam側の都合で手順が変更される可能性はありますので、あらかじめご了承ください。
ちなみに筆者がSteamに登録を申請したゲームは以下のものです。興味があれば覗いてみてください。

①Steamworksの配信プログラムに参加する
それではここから最初の手順である、Steamworksの配信プログラムに参加する方法について解説したいと思います。
まず、Steamworks(スチームワークス)を簡単に言うと、ゲームを遊ぶ人のためのものではなく、ゲームを作って販売したいという人向けのサービスのことです。
単にSteamで他の人が作ったゲームを遊ぶだけなら、このSteamworksに登録する必要はありませんが、開発者としてゲームを販売するためにはSteamworksへの登録(配信プログラムへの参加)が必須となっています。
そのため、Steamでゲームの販売を考えている人が最初にすべきことは、このSteamworksへの登録となるのですが、この登録は上でも触れた通り、$100と30日間の待機期間が必要となるので、軽い気持ちで行うものでは有りません。
逆に言うと、まだゲームがほとんど出来ていなくても、将来Steamで販売したいと本気で考えている人は、待機期間を終わらせておくためにも早めに登録しておくのが良いです。
具体的なSteamworksへの登録方法については以下の記事をご確認ください。
②ストアページの準備と公開
Steamworksへの登録が終わったら、次は販売を予定しているゲームの紹介をするためのストアページを準備する必要があります。
Steamでゲームをダウンロードした遊んだことがある人なら、必ず他のゲームのストアページを見たことがあると思いますが、トレーラー(ゲームの予告動画)を1~2つとサムネイル含めた複数の画像が必要となります。
※トレーラーは必須では無いですが、販売数に大きく影響する要素なので、可能な限り用意する必要があります(後で差し替えなどは可能です)
また、そのゲームがどういったものかを説明する文章や、ゲームのリリース予定日等も用意することになります。
このストアページの出来栄えがゲームの売上に大きく関わってくるため、ストアページの準備にそれなりの時間(数日~数週間)を掛けることを事前に意識しておくと良いかと思います。
具体的なストアページの準備と公開までの手順については以下の記事をご確認ください。
③ゲームビルド
ストアページの公開も無事に完了したら、最後は実際に作成したゲームをSteamにアップロードして登録する必要があります。
このSteamにアップロードして登録する作業のことを「ゲームビルド(略してビルド)」と呼んでいます。
ビルドはいきなり販売用のゲームを登録しなくても、テスト用や体験版用にアップロードすることも許容されているようです。
詳細なゲームビルドの手順については以下のページをご確認ください。
ページ作成中(後日公開予定)
④ゲームのリリース
ストアページの公開後2週間経てば、ゲームのリリースが出来るようになります。
ただ、ゲームのリリースのためには製品版のゲームビルドが必要となりますので、ここまでの手順すべてを完了している必要があります。
このリリースを終えて、やっと販売が開始されることになりますので、今回の記事のゴールに到達したということになります。
まぁ、現実は販売を終えてからも宣伝や、次の作品に向けて動き出す必要があると思いますので、一旦の節目という形にしかならないかもしれませんが・・・。
詳細なゲームのリリース手順については以下のページをご確認ください。
ページ作成中(後日公開予定)
まとめ
本記事では個人ゲーム開発者(インディー開発)がSteamでゲームを販売する方法について解説しました。
記事を読めば理解できると思いますが、個人開発者がSteamでゲームを販売するというのは非常に大変です(販売経験があるだけでかなり凄いです)。
そのため、Steamでゲームを販売した経験があるという個人開発者を見かけたら、それがどんなゲームであろうと、良く頑張ったと褒めてあげてください(笑)。
また、これだけの労力が必要と考えると本当にSteamでの販売が必要なのかについてもよく考える必要があると思います。
以下に個人レベルで開発している人が本当にSteamでの販売をすべきなのかについて、別途記事を書きましたので、Steamに挑戦する前に読んでもらえると多少は参考になるかと思います。
この記事を見て、Steamでの販売を躊躇う人もいるかも知れませんが、個人ゲーム開発者として将来やっていくつもりがあるのであれば、いずれは挑戦が必要だと思います。
そのため、今回は一旦Steamでの販売を見送ったとしても、今度挑戦する気が起きたときはこの記事を見返して、戦略を練っておいてもらえると良いかと思います。
それでは、本記事での解説はこれで終わります。また、多くの人たちにとって有益な情報があれば記事にしたいと思いますので、興味がある方は私のXをフォローしておいて貰えればと思います。

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