【書評・要約】「難しいことはわかりませんが、英語が話せる方法を教えてください!」レビュー①

レビュー

『難しいことはわかりませんが、英語が話せる方法を教えてください!』という書籍について(考え方編~ペラペラ入門編)

英語が話せるようになりたいな~と考え、英語関連の書籍を色々見て回りましたが、この『難しいことはわかりませんが、英語が話せる方法を教えてください!』(以降、「本著」)は読んでいてとても参考になったので、備忘録兼書評として記事を書きました。

その中でも本記事は書籍中の「Chapter1 考え方編」から「Chapter2 ペラペラ入門編」までの範囲を記事にしました。

本著は良くある英語書籍とは違い、〇〇をすれば英語を話せるようになる~のような胡散臭い学習法の紹介は無く、「英語を話せるようになるためには、実際にイングリッシュスピーカーと話し(英会話)をする必要が有る」と最初から繰り返し述べられています。

また、中学校で習うほんの一部の英語が使いこなせれば英会話が出来るようになると言いながらも、日本の英語教育は「英語パズル」でしかなく、どれだけ日本の英語教育で点数が良くても英会話は出来るようにならない(むしろ悪影響も多い)と断じています。

冒頭では良く中学英語の問題文として出てくる以下を例えとして本著の考え方を述べています。

【問】2つの文を一つにせよ

I know that girl. That girl is Mary.

【答】

I know that girl who is Mary.(私はメアリーという少女を知っている)

上記のように関係代名詞を用いて一文にすることが出来ますが、本著ではこういう問題をそもそも「一文にする必要は無い!」と強く述べています。

元の2文でも英会話としては意味が十分通じるのに、正解が一つしかないという考えで敢えて英語パズルを解かせるような問題を学ぶと、実際の英会話でもどれが一番正しい言い方なのかを考えてしまって、とっさに英語を口から出せなくなってしまうと問題視しています。

日本語でも飲食店でサラダが欲しいと伝えたい場合は「サラダを持ってきてください」「サラダはありますか」「サラダを頂けますか?」等の通じる表現はいくらでもあるので、自分の言った英語に〇を貰うことよりも、自分の思っていることを相手に伝える方がはるかに大切ということを一番初めに知って欲しいと述べています。

本記事は『難しいことはわかりませんが、英語が話せる方法を教えてください!』の内容を引用して執筆しております。

Amazon.co.jp: 難しいことはわかりませんが、英語が話せる方法を教えてください! : スティーブ ソレイシィ, 大橋 弘祐: 本

英語を話すためには「釣り竿」を使いこなすのが近道

上の章では本著の基本的な考え方、すなわち「英会話が出来るようになるためには、日本的な英語パズルを学習するのではなく、実際のイングリッシュスピーカーと話す実践を繰り返すことで上達していく必要が有る」ということを解説しました。

ただ、直ぐにイングリッシュスピーカーと会話するというのは普通に考えてハードルが高すぎるので、本著では英語を話すための汎用的な表現方法を使いこなせれば自分の意思を伝えることが出来るようになると言っています。

例えば日本語なら「大丈夫」という言葉は「今、大丈夫ですか?」と聞けば「少し時間ありますか?」という意味になるし、「〇〇さん、大丈夫?」と聞けば、〇〇さんの体調を気遣っている意味にもなり、とても汎用性が高いです。

英語でも日本語の「大丈夫」のように汎用性の高い言葉が多くあるので、これらの表現を使いこなせるようになると様々な場面で応用が利くことに加えて、状況に合わせた複雑な表現を覚える必要も無くなるので、会話がとても楽になると述べています。

そういった汎用的な言葉を英語のことわざ(一匹の魚があれば一日は食べられる、一本の釣り竿があれば一生食べられる)から取って、「釣り竿」と本著では呼んでいます。

こういう「釣り竿」を使って英語を学ぶのは世界の英語学習では当たり前の方法らしいですが、何故か日本は独自の英語パズルで学習してペーパー試験で得点を取るためだけの頭を鍛えているのが不思議とのことです。

最も日本の英語教育も英会話に役立っていないだけで、難しい単語や文法を多く知っているのは世界的に見たら凄いことだとは褒めているので、日本の英語教育も英会話中心の授業を付け足すだけでも大きく変わる可能性はありますね。

様々な英語の「釣り竿」を紹介

ここからは本著で紹介されている具体的な「釣り竿」を紹介していきたいと思います。

■「釣り竿」の紹介

  1. Would you?
  2. May I?
  3. I have a problem here.
  4. Hi.
  5. Sorry?
  6. Thanks.
  7. It’s that way.
  8. May I have ~ ?

「釣り竿」Would you?

一番最初で挙げられている「釣り竿」は「Would you?」です。「Would you ~?」自体は「~をお願いします」という意味となります。

具体的に使用する場面として、店員に「ワインが割れないように包んで欲しい」と伝えるときは、店員に目を合わせて「Would you?」と言いながら、手を使ってワインを包んでもらうジェスチャーをすれば伝わると述べています。

実際の英会話はペーパー試験と違って状況やジェスチャーが助けてくれるので、複雑な言葉で捕捉する必要は薄く、「釣り竿」とジェスチャーがあれば基本的には伝わるものらしいです。ジェスチャーだけでは伝わらないことが多いので、「釣り竿」と組み合わせるのが大切だとしています。

他にも写真を撮ってもらいたい時はカメラを差し出しながら「Would you?」と言ったり、ペンを落として相手の近くに落としてしまい、拾って欲しい時もペンを指さしながら「Would you?」と言えば、意味が伝わるとしています。

「釣り竿」May I?

次に挙げられている「釣り竿」は「May I?」です。「May I ~?」自体は「~してよろしいですか?」という意味となります。

具体的に使用する場面として、電車で座りたいのに隣の人が荷物を置いていたので、どかして欲しい時に「May I?」と言いながら荷物を置いてある座席を指差せば、「その席に座ってい良いですか」という意味で伝わると述べています。

他にも友達との食事で最後のピザを食べていい?と聞きたいときはピザを指差しながら「May I?」と言ったり、ミーティングで一言よろしいですか?と提案したい場合は手を挙げながら「May I?」と言えば、意味が伝わるとしています。

「Would you?」との使用場面の違いとしては、他の人に「これをしていただけませんか?」と伝えたい時は「Would you?」で、他の人へ自分が「これをしてもいいでしょうか?」と伝えたい時は「May I?」のような感覚でいれば使いこなせるようになるだろうと言っています。

「釣り竿」I have a problem here.

次の「釣り竿」は「I have a problem here.」です。「I have a problem here.」自体は「私はここに問題を持っています」という意味となります。

具体的に使用する場面として、海外旅行中に突然わき腹が痛くなった時には他の人に「I have a problem here.」と言いながら、自分のわき腹を指差せば「わき腹が痛い」という意味で伝わると述べています。

この応用で「here」の部分を変えることで様々な場面に使えるとしています。例えばモニターの調子が悪い時に「I have a problem with this.」と言いながら指で指せば、相手にモニターに問題が有る(故障)と伝えることが出来るとしています。

「釣り竿」Hi.

物凄く簡単な「釣り竿」ですが、恐らく日常で一番使われる汎用的な言葉が「Hi.」であると解説されています。

もし日常生活で一番多いコミュニケーションが何かと問われれば「挨拶」となるでしょうが、日本の「挨拶」の中で最も使われるのは「会釈」だろうと語られています。そして海外では日本の「会釈」は基本的に通じず、「Hi.」が同じ表現として該当すると解説されています。

日本の英語教科書では「Hi.」を「やぁ」のように訳されますが、実際はエレベーターですれ違う人でも、朝同僚にあった時の挨拶でも、上司への挨拶としても使われるので、日本語としては「会釈」や「こんにちわ」や「お疲れさま」のような幅広いニュアンスになるらしいですね。

「Hello.」も同じ挨拶ですが、使う場面としては電話に出るときの「もしもし」や、人を訪ねた時の「ごめんください」という時等が主であり、通常の挨拶としては「Hi.」の方が断然主流とのことです。

尚、「Hi.」は「ハーイ」のように陽気な発音ではなく、落ち着いたトーンで「ハイン」のように発音とするのが近いとしています。

「Hi again」と言えば「また会えましたね」や「度々すみません」という意味にもなり、「Hi, I'm 〇〇」と言えば「初めまして、私は〇〇です」という「nice to meet you」の代わりの意味にもなるので、とても応用が利くと解説されています。

「釣り竿」Sorry?

これもとても簡単な単語ですが、「Sorry?」は謝罪レベルが簡単に表現出来る「釣り竿」として紹介されています。

具体的な例として、相手の喋った言葉上手く聞き取れなかった場合に「Sorry?」と言えば「もう一度お願いします」という意味で伝わり、「One more, please」よりも通じやすくて丁寧だと解説されています。

また、普通に謝るときも当然使えるので以下のように表現を変えるだけで、謝罪のレベルを調節することが出来るとのことです。

■謝罪のsorry3段階

  • Sorry.(すみません)
  • Sorry about that.(ごめんなさい)
  • I’m sorry about that.(申し訳ありません)
他にも特別な使い方として、「I'm sorry to hear that.」(それは大変ですね)と財布を無くした等の相手がバッドニュースを言った時に気遣う言葉として使うこともあるという話です。

「釣り竿」Thanks.

謝罪と同じく重要な感謝するときの「Thanks.」も「釣り竿」として紹介されています。

「Thanks.」は小さな親切を受けた時に感謝を伝える最適な言葉で、「Thank you.」は小さな親切に対してフラットな言い方をすると「やってくれて、当たり前でしょう」のような偉そうな感じが出てしまうので危険だと語られています。

それに「Thanks.」は名詞なので、大きな親切に対しても「Many thanks.」や「Thanks a lot」という表現で対応できるので、感謝を伝えたいときは「thanks.」を基本として会話するようにした方が良いとのことです。「Thanks.」は日本語で言う「どうも」くらいの簡単な感謝の言葉となるようです。

逆に相手に「Thanks.」と言われた場合は、「Sure.」と返すことが多い。「Sure.」は(いえいえ)くらいのニュアンスとなるらしいです。

「釣り竿」It’s that way.

次の「釣り竿」は外国人に英語で道を聞かれた場合に使う時の表現である、「It's that way.」(あちらの方です)の紹介です。

道を聞かれたときの答え方を中学英語では「Go straight ~」で始まる長文を教えられたと思いますが、大抵の人はそこから上手く言葉が続かないのではないでしょうか。

実際、そこまで細かく答えなくても、まずは「It's that way.」と言って行き先を指さしてあげれば、相手にどっちに進めばよいのかを伝えることができます。

さらに詳しく説明が必要そうな場合は、「It's on the left」(左にあります)や「It's on the right」(右にあります)を追加することで、より詳しく細く出来ます。

中学英語で習ったような「left hand」等の言い回しが無くても普通は伝わるので、上のような言い回しで問題ないということです。

また、さらに距離について補足したい場合は、「It's far」(遠いです)や「It's fifteen minutes from here」(ここから15分かかります)と言う風に「It's ~」で伝えていけば、距離感も伝えることが出来ます。

そして、逆に自分が道を聞きたい場合は、「It's far?」のように語尾を上げて聞くと、「遠いですか?」のように疑問文として使うことも出来るということです(本来は「Is it far?」が正しいですが、語尾を上げるだけで同じ意味で伝わる)。

「釣り竿」May I have ~ ?

最後の「釣り竿」は何かをお願いするときの「May I have ~ ?」(~をお願いできますか)となります。

学生時代に英語を習った人達は人に何かをお願いするときは、「Water please」(水をください)のように「単語 + please」と言えば良いと思っている人が多いと思います。

ですが、実際にこの「単語 + please」を使うとネイティブの人達からは「水をくれ」みたいな、少し幼稚な言葉に聞こえてしまうということです。

そのため、基本的に人に何かをお願いするときは「May I have water?」(水をお願いできますか)という、「May I have ~ ?」の言い回しを覚えておくことが重要だと語られています。

この言い回しであれば、欲しいものが何であっても単語を入れ替えるだけで、自分が何をお願いしたいのかを伝えることが出来る、非常に便利な釣り竿となっています。

また、最悪単語が分からない場合でも、「May I have that?」(あれをお願いできますか)のように「that」を使って、指差しジェスチャーをすれば相手に欲しいものを伝えることが出来ます。

更に「May I have ~ ?」は単純なものだけでなく、人の名前を最後に付ければ、〇〇さんをお願いしますのように呼び出しにも使え、「May I have telephone number?」(電話番号を教えてください)のように情報を聞く時にも使えます。

本著を読んだ感想

ここまで本著の基本的な内容と様々な場面で使える「釣り竿」と具体例を簡単にまとめましたが、やはり特徴的なのは英語書籍としては異例の「英語を話せるようになるためには、実際にイングリッシュスピーカーと話し(英会話)をする必要が有る」と断言しているところでしょう。

普通に考えれば当たり前のことですが、英語を話せるようになるためには例え下手でも何度も繰り返して英語を喋るようにするしかないというシンプルな考え方で、そのために汎用的な表現方法である「釣り竿」を使って、最小限の英語レベルでもコミュニケーションが出来るようにすれば良いというものでした。

本著の途中でも書かれていますが、「釣り竿」と最低限の英語を使ってのコミュニケーションは英会話の入門編であり、そこで慣れてきてから基礎的な英会話が出来るように習熟していけば良いので、先ずは英語を話す練習を始めなければ、話せるようになるはずが無いよねという考えにはとても共感出来ました。

良くネット上にある英語学習としては「〇〇の単語を覚えれば英語が話せるようになる!」や「ヘッドフォンで英語を聞き流すだけで話せるようになる!」等の胡散臭いものが多く、本を読んだり音声を聞いたりするばかりで実際に話す練習をしないものがほとんどです。

内容としても、そもそも関係代名詞が~とか目的格が~とかを学校や英語書籍では何度も習いましたが、現実の会話でそれらを意識して頻繁に使うような状況はそこまで多くありません(当然知っている方が良いのは事実ですが)。

日本語で考えてみてもイチイチ話すときにそういったことを意識するなんてことは誰もしていないと思います。

そういった一般的な書籍とは本著で語られていることは全く異なりますが、私としては本著の内容の方がとても納得出来ましたし、これからこういう風に学習していこうと思うことが出来ました。

まぁ、これから実際に英会話の練習を始めてみて、「釣り竿」が全然通じないじゃん!みたいな状況になることもあるかもしれませんが、それはそれで良い経験になるでしょう(笑)。

尚、ジャンルは違いますが、過去に以下のような書籍のレビュー記事も書いていますので興味があれば閲覧ください。

それでは次の記事も興味があれば閲覧ください。

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本記事は『バビロンの大富豪(The Richest Man in Babylon)』の概要(要約)と私の感想(レビュー)を載せています。本書籍は「お金持ちになるための必読書」として有名で「7つの知恵」や「五つの黄金法則」を始めとした「富を手に入れるための原則」について詳しく書かれているものなっています。

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