市場の性質に関する相場格言
株式市場には数多くの格言が存在し、投資家たちに重要な教訓を提供してきました。
こういった格言は基本的に先人達の経験則から述べられているものなので、これらを知っておくことで相場で有利に立ち回れることが出来るようになります。
本記事では理解しておくべき市場の性質に関する相場格言を紹介し、その意味について簡単に解説しています。
- 株価の里帰り
- 山高ければ谷深し
- 行き過ぎもまた相場
- 石が浮かんで、木の葉が沈む
- 相場に過去はない
- 相場は相場に聞け
- 相場に王道なし
- 株というものは高いときには最上に、安いときには最低にみえるものだ
- 大保合いは大相場
- 閑散に売りなし
- 逆日歩に売りなし、買いなし
株価の里帰り
この格言は「株価が長期的には元の水準に戻る傾向がある(里帰りする)」という意味です。
相場には上昇と下降のサイクルがあり、極端な高値や安値は一時的なものであることが多いのです。
結局のところ銘柄の本質的な価値はファンダメンタルズに依存するので、一時的な材料による暴騰も暴落も、長期的に見た場合はその銘柄の本質的価値に戻る傾向があることを意味しています。
つまり、この格言は投資家に対して短期的な変動に一喜一憂せずに長期的な視点を持つことの重要性を教えています。
ただし、「どれくらいの時間をかけて里帰りするのかは誰にも分からない」ということは理解しておいてください。
いずれ里帰りするだろうと損失を抱えたまま長期間待ち続けるよりも、「見切り千両」の格言を思い出して、早めに資金を別の銘柄に移すのも一つの手であることを忘れないでください。
山高ければ谷深し
この格言は相場の変動の激しさを表現したもので、株価が急激に上昇すれば、その後の下落も同様に激しくなる可能性が高いことを警告しています。
相場が好調で株価が急上昇している時こそ、賢明な投資家は将来の下落リスクに備える必要があるのです。
例えば複数回にわたって利益確定をしておくことや、一定の利益を確保したら暴落が来る前に全て手仕舞いしておく等をすることで、深い谷に落ちずに済むようになるということですね。
行き過ぎもまた相場
この格言は「山高ければ谷深し」に近い意味を持った言葉です。
相場というのはすべてを予想できるものではなく、「これ以上の値上がりをするわけがない」「ここまで下がったら底値だろう」等と思っても、実際はそれ以上に上がることも下がることもあります。
そういった想像も出来ないほどの値を付けることを「行き過ぎ」と表現しており、「また相場」からも分かる通り、相場にはそういったこともあるので必要以上に気にしてはいけないということを教えている格言です。
そして、最終的に行き過ぎた相場は「株価の里帰り」で元の水準に戻ってくることが多いので、それを忘れないようしましょう。
石が浮かんで、木の葉が沈む
この格言はことわざの一つである「石が流れて木の葉が沈む」を相場風にアレンジしたような格言です。
「石が流れて木の葉が沈む」は水底に沈むはずの石が浮いて、浮いて流れるはずの木の葉が沈むという状況を表しており、つまりは本来あるべき姿(道理)と逆転した状態になるという意味です。
「石が浮かんで、木の葉が沈む」も同じように、好決算を出した会社の株が何故か売られたり、逆に赤字決算を出した会社の株が上がったりと、道理では説明できないような値動きが相場では多々あります。
そのように一般常識や理屈だけで相場を考えてしまうと、足をすくわれてしまうということを教えている格言であり、常識では説明できないことが起きるのが相場だということを良く理解しておく必要があります。
相場に過去はない
この格言は「どれだけ後悔しても過去は変えられないので、今の投資に集中すべき」という意味です。
投資家として様々な売買を繰り返す中で、「あの時に買っていたら」「あの時に売ってしまえば」などと思うことは絶対に出てきます。
しかし、どれだけ過ぎたことを悔いたとしても過去は変えられないため、過ぎたことよりも目の前の投資にしっかりと向き合うことが重要なのです。
ただし、過去の失敗を反省したうえで自分の投資スタイルに反映すること自体は決して悪いことではありません。
ですが過去の体験が忘れられない人ほど、過剰にリスクを取るような投資スタイルに変化してしまうことが多いので、後悔したとしてもリスクを取り過ぎる投資は決して止めましょう。
相場は相場に聞け(相場のことは相場に聞け)
この格言はどれだけ自信をもって投資をしていたとしても、実際の相場の値動きが自分の予想したものと異なっているときは、こだわり過ぎずに相場に従うべきだと意味です。
相場には様々な要因が複雑に絡み合っており、それらすべてを完全に理解し予測することは困難です。
しかし、相場の動きそのものはすべての要因を反映した結果であり、最も直接的で信頼できる情報源となります。
そのため、相場が自身の想定した値動きと異なり、今後の見通しが不透明となった時には、自分の考えよりも相場の値動きを確認しながら、売買の判断を決めるべきということです。
この格言は「相場自体が最も雄弁な語り手である」ことを認識し、その声に耳を傾けることの大切さを教えているのです。
相場に王道なし
この格言は「相場に必勝法なんてものは存在しない」という意味です。
古代エジプトの格言である「学問に王道なし」を由来としていて、こちらは学問を身に着けるためには地道に努力をするしかないという意味で使われている言葉です。
同じく「相場に王道なし」も投資で勝つために安易な抜け道や近道を探そうとせず、地道に銘柄研究や相場の勉強を積み重ねて努力しなさいということです。
よくSNS等では「絶対に勝てる方法を教えます」とか「初心者でも簡単に儲かる」みたいな煽り文句を使っている人達がいますが、投資の本質を理解している人であれば、このような言葉は絶対に使いません。
これらの煽り文句を使ている人達は、投資のことを何も分からない人達をグループに引き込んで会費を取ったり、情報商材を取ったりすることでお金を稼ぐことを生業としているだけで、投資家として見習うべき部分は一切ありません。
もしも貴方が投資で勝ちたいと本気で考えているのならば、そういった都合の良い言葉には耳を貸さずに地道に投資について勉強していくことこそが、何よりも勝つ可能性を広げるのだと理解してください。
株というものは高いときには最上に、安いときには最低にみえるものだ
この格言は文字通りの意味ですね(笑)
大勢の投資家が買い漁る株は株価がドンドン上昇していくため、その会社の状況等に関わらず、非常に魅力的な株に見えるため、他の投資家達もつい買いたくなってきてしまいます。
逆に大勢の投資家が売った株はどんどん安くなっていくため、たとえ素晴らしいファンダメンタルズを持っている会社であったとしても、全く魅力的な株に見えなくなるというものです。
本来株で儲けたいのであれば「安いときに買って、高いときに売る」のが基本ですが、一般投資家はその真逆の投資をしてしまうことを揶揄している格言です。
大保合いは大相場
この格言は「大保合い(大持ち合い)」が長く続いた銘柄は、その持ち合いを抜けた後は大相場になりやすいという意味で使われる格言です。
「保合い(持ち合い)」というのは株価がほぼ値動きせず横ばいで推移している状態(ボックス相場)のことを指していて、頭に「大」がついていることから、それが長く続いていることを表しています。
そして、その「大保合い」を抜けた後の銘柄は大相場(値動きや出来高が大きく動く相場)になる傾向があるという、多くの投資家達の相場経験から来ている格言ですね。
この理由は恐らく「大保合い」の時に信用買いや空売りをしている人が増えるため、その相場を抜けると一斉に信用買いや空売りを手戻しするため、勢いが止まらなくなるからだと思います。
そのため、長期間株価の値動きがあまり無い銘柄を見つけたときは、この格言を思い出して次に来るかもしれない大相場に備えておくのが良いかと思います。
閑散に売りなし
この格言は相場が下落し、取引が少ない閑散期には売りを控えるべきだという意味です。
「閑散」というのは相場の出来高が減少していて、値動きもほとんどない時を指しています。つまりは相場に人自体が少ない時ということになります。
自分の持っている株がこのような状況に置かれると、多くの人は嫌気が指して株を売ってしまいたくなります。
しかし、このような時期こそが売りが一巡していて相場が底を打っている可能性が高いのです。
こういった状況は売り圧力が既に出尽くしているため、その後にちょっとしたきっかけで相場が反転し、大きな上昇相場に繋がることが多々あるのです。
そのことから、相場が閑散した時に早まって売ってしまわないようにという教訓を教えている格言となります。
逆日歩に売りなし、逆日歩に買いなし
この格言を理解するためには「逆日歩」というものを最初に知っておく必要があります。
証券会社は信用売買をスムーズに行うための買い付け代金や空売り用の株券を一定保有していますが、信用取引が大量に発生する際は足りなくなるため証券金融会社を経由して資金や株券を調達してきます。
ただし、信用売り(空売り)が信用買いを上回る状態(売り長)が続くと、証券金融会社でも株券を調達出来ないということが偶に起こってしまい、その調達をするための株券を投資家等が保有している現物株から借りてきます。
投資家には現物株を借りる見返りとして金利を支払いますが、この支払う金利こそが「逆日歩」となります。
つまり、「逆日歩」というのは信用売り(空売り)が信用買いを上回る状態が続いていることにより株不足が発生し、それを補うために金利を支払って信用売りの株を投資家から借りているものです。
この「逆日歩」が発生すると売り方(信用売りをしている方)は毎日金利を支払うことになり、徐々に信用売り玉を保有していることが辛くなってくるため、損失覚悟で買い戻す傾向が強まります。
そして、売り方が一斉に買い戻しを始めると買い方が勢い付いてくるため、いわゆる「踏み上げ相場」に発展して株価も急上昇することから、「逆日歩に売りなし」という格言に繋がります。
しかし、「踏み上げ相場」が終わり、株価がひと段落して株不足も解消されると、一転して本来の売り圧力が戻ってくるため、株価は急落する傾向があります。これを「逆日歩に買いなし」と呼びます。
つまり、「逆日歩」が発生した銘柄は目先では「踏み上げ相場」により急上昇する傾向があるが、その後を長い目で見れば元々信用売りの多い銘柄のため、売り圧力が戻ってきて急落する可能性が高く、手出しはしない方が良いという教えの格言となります。
まとめ
今回は理解しておくべき市場の性質に関する相場格言を紹介しました。
こういった格言を事前に知っておけば、どれだけ荒れた相場でも必ず乗り越えられると思いますので、売買をする際には必ず思い出すようにしてください。
以前、投資の基礎知識についても以下の記事で解説していますので、投資の基礎を知りたいという方は閲覧ください。
それでは次の記事も閲覧いただけると幸いです。
https://senkohome.com/investment-fundamentals-stocks-crypto-nisa/
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