投資家の心構えに関する相場格言
株式市場には数多くの格言が存在し、投資家たちに重要な教訓を提供してきました。
こういった格言は基本的に先人達の経験則から述べられているものなので、これらを知っておくことで相場で有利に立ち回れることが出来るようになります。
本記事では理解しておくべき投資家の心構えに関する相場格言を紹介し、その意味について簡単に解説しています。
- 名人になるより素人らしく
- わかってくるほど、わからなくなるのが相場
- 名人は相場のこわさを知る
- 備えあれば迷いなし
- 相場師は孤独を愛す
- 強弱よりも運用を学べ
- 休むも相場
- 当たり外れは世のならい
- 心ゆるめば財布もゆるむ
- 売りは迅速、買いは悠然
名人になるより素人らしく
相場の世界では「名人になるより素人らしく」という格言があります。
これは経験を積んで「相場の名人」になろうとするよりも、「相場の素人」の時のように謙虚な姿勢と相場に真剣に向き合うことの重要性を説いています。
相場に長く携わると複雑な分析手法や過去の経験からの予測、それらを元に頻繁に売買することで小幅な利益を求めていく方向に囚われがちです。
しかし、そうした「名人」的な判断が逆に相場の本質を見誤らせることが多々あります。
相場は常に変化し、予測不可能な要素が多いため、どれだけ経験を積もうと自分自身を「名人」だと思い込むことは非常に危険です。
複雑な投資手法等に依存せずに素人だった時を思い出し、売買の一つ一つにしっかりと向き合って常に学ぶ姿勢を持ち続けることが、投資家として長生きするのに必要な心構えなのです。
わかってくるほど、わからなくなるのが相場
これは「名人になるより素人らしく」にも関連する相場格言ですが、つまりは相場の経験を積んで、相場のことがそれなりに分かってくるほど、逆にドンドン儲けられなくなっていってしまうという意味です。
素人の時というのは未だ相場のことを何も分からないために、自分自身の拘りや投資技術が無いため、無意識に「相場は相場に聞け」という相場の原理を実践して儲けることがあります。
しかし、相場のことが多少分かってくると、「こうすれば儲かる」という自分なりの投資手法を生み出して実践するようになり、いずれはその手法が失敗して損失に繋がることが多いのです。
これは「相場に王道なし」という格言にもつながりますが、相場において「こうすれば絶対に儲かる」という投資手法は存在しません。
そのため、変に相場のことを分かったつもりになって理屈をこねた投資をしてしまうと、逆に損をすることが多くなってくることを戒めている相場格言が「わかってくるほど、わからなくなるのが相場」なのです。
名人は相場の怖さを知る
相場で「名人」と呼ばれるような人は、思った通りに投資で儲けられる人のことを指すのではなく、相場のリスクを十分に理解して無理をしない人のことを指します。
多くの人が相場で勝つこと(儲けること)を重要視していますが、現実は相場で負けないこと(損失を極力避けること)を意識している人の方がずっと長生きします。
当たり前の話ですが、相場の世界で全戦全勝という人は存在しませんし、もしも「こうすれば絶対に儲かる」等と言った言葉を口にしているのであれば、それは投資家ではなく詐欺師なのはほぼ間違いありません。
相場は複雑怪奇で好調だと思った株が突然大暴落することも、逆に見込みなしと思われていた株が大暴騰することもたびたび起きます。
つまりは相場の世界においてすべてを完璧に予想することはどんな人にも不可能であり、突然の大暴落等が来たとしても致命傷を負わないように立ち回ることが重要なのです。
投資は「リスク管理」が重要だと投資を始める前の人でも聞いたことがあると思いますが、この格言は正に「リスク管理」について深く忠告してくれているものでもありますね。
備えあれば迷いなし
この格言は自分の投資への自信、想定外が起きた場合の対応計画、資金面でのリスク管理の重要性等の複数の意味を持った格言となります。
先ず投資をする際はなぜその銘柄なのか、なぜ今買うのか、なぜ上がると考えたのか等を、自分なりに研究したうえで投資することで、その投資に自信を持つことが出来ます。
逆に自信を持てない投資をしてしまうと、少し想定外のことが起きただけでも迷いが出てしまい、わずかなことでも動揺して冷静な判断が出来なくなります。
もちろん、投資をするときは誰もが自分の売買は正しいものだと考えて行いますが、本当に思った通りに動くかどうかは相場次第となります。
そのため、投資をする際には初めから自分の想定通りに動いた場合もそうでない場合も、あらかじめ想定したうえで、その後の対応を決めておくのが良いということです。
例えば自分の想定と逆に動いた場合は損切ラインはどこにするか等です。そうした心の備えをしておくことで、実際にその場が訪れたときにも冷静に対応できるようになります。
また、投資する際の資金も限界ギリギリまで使ってしまうと冷静さを欠いてしまうことが多いので、仮に損を出しても問題ない範囲の余裕資金で投資をするのが良いでしょう。
これらのことに備えておくことで迷いなく投資が出来るようになり、そして迷いない投資こそが最終的には相場で長生きすることに繋がっていくのです。
相場師は孤独を愛す
この格言は成功する投資家は他人の意見や市場の雰囲気に惑わされることなく、自らの分析と判断に基づいて行動する者であるという意味です。
相場の世界には様々な声が聞こえてきますが、そういった群衆心理に流されず、時には孤独を感じるほど独自の立場を取ることが相場で成功するための鍵となります。
相場は往々にして、多くの人々が同じ方向に動く傾向があります。しかし、そうした「群れ」の動きに従うだけでは大きな利益を得ることは難しいでしょう。
そのため、成功する投資家は他人の話に左右されず、自慢や愚痴も言わず、徒党を組むこともなく、大事な判断は必ず自分一人で決める必要があるのです。
強弱よりも運用を学べ
この格言の「強弱」というのは株価の上げ下げのことを指していて、「運用」というのは自身の投資戦略のことを指しています。
つまり、株価の上げ下げを予想するよりも、自身の投資戦略を磨く方が重要であるという意味の格言となります。
相場に入り浸っている人は明日は株価が上がるだろうか、それとも下がるだろうかということばかりを気にしていて、安易な考えで投資をしてしまう傾向があります。
賢い投資家は目先の上げ下げに注意を払うのではなく、もっと長期的に自分がどう動けば儲けることが出来るのかを考えて、その運用方法を考えているものです。
相場の上げ下げは多くても1日の終わりに1回見るか、少なければ週に1~2回程度見るくらいで十分なのです。それ以上の頻度で気にしている人はもっと運用の方に目を向けるべきでしょう。
休むも相場
この格言はとても分かりやすいですね。相場には「買い」か「売り」の選択肢しかないと思っている人が大半ですが、実はもう一つ「休む」という選択肢も存在します。
この「買い」「売り」「休む」の選択肢を組み合わせて相場に挑むわけですが、実は「休む」という選択肢が個人投資家にとっては最も重要な選択肢の一つです。
基本的に「買い」「売り」の判断は今売買すれば高い確率で儲かると思うときにのみ行う行為であり、それ以外の時は「休む」方が良いのです。
世界で最も投資で成功したウォーレン・バフェット氏は、欲しい株が無いときは1年単位で相場を休むこともあると明言しているくらいですからね。
専門の投資家であれば特定期間内で利益を出すことを求められるため「休む」という選択肢を取りづらいのですが、個人投資家は期間の制限等はないため好きに「休む」ことが出来るのがメリットの一つでもあります。
現実問題として相場の大半というのは明確なトレンドがほとんど無い状態、もしくは短期間で変動が大きい不安定な状態となることが多いです。
そういった先行きを掴み辛い相場で無理に売買をして利益を出そうとしても、結果的に損失を出す可能性の方が高くなるため、「休む」という選択肢を忘れないようにしましょう。
当たり外れは世のならい
この格言は自分の予想が当たって相場で儲けたとしても思い上がらず、逆に外れて損失を被ったとしても思い詰める必要は無いという意味です。
要は「人生山あり谷あり」みたいなもので、「運の良い時もあれば悪い時もある」のが相場であり、必要以上に考えても仕方ないということです。
投資をするときは自分で勝てると思える材料があるからこそやるものですが、相場はどうしても運の絡む部分が多いので、上手くいくときもあれば上手くいかない時もあるのは当然です。
そのため、そういう時は「当たり外れは世のならい」と割り切って、次の投資に切り替えていくのが大切なのです。
心ゆるめば財布もゆるむ
この格言は相場で大きく儲けた後は気が緩み、思わず財布もゆるんでしまい杜撰な投資をしてしまうことを指しています。
普段であれば十分な材料集め等をしてから投資するのに、それらを怠った結果、相場で思いがけない大損をしてしまう様子を表している言葉です。
そんなミスを犯さないように大きく儲けた後も決して気を緩めることなく、真剣に相場と向き合うことが重要なのだと教えてくれる格言ですね。
ことわざにもある「勝って兜の緒を締めよ」の相場格言verといったところでしょうか。
売りは迅速、買いは悠然
この格言は株を買うときは落ち着いて待ち構える方が安く買えることが多いが、売ると決めたときは即座に行動する方が高く売れることが多いという意味です。
これは市場の性質にも関連しているもので、株価というのは底値の期間の方が長く、上がっていくときも比較的緩やかだが、下がるときは一気に落ちることが多いため、特に売る場合は迅速さが求められるのです。
しかし、基本的に投資家というのは利益が出ているときほどもう少し引っ張りたいと思ってしまうことが多いため、一気に下落した際には利益どころか損失を出してしまうこともあります。
そういった状況に陥らないように、チャンスを見極めながら売ると決めたときは、即座に動くことが重要なのだという教訓となります。
同じような意味で「売りは早かれ 買いは遅かれ」等の相場格言もあります。
まとめ
今回は理解しておくべき投資家の心構えに関する相場格言を紹介しました。
こういった格言を事前に知っておけば、どれだけ荒れた相場でも必ず乗り越えられると思いますので、売買をする際には必ず思い出すようにしてください。
以前、投資の基礎知識についても以下の記事で解説していますので、投資の基礎を知りたいという方は閲覧ください。
それでは次の記事も閲覧いただけると幸いです。
https://senkohome.com/investment-fundamentals-stocks-crypto-nisa/
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