個人ゲーム開発者はSteamで販売する方が良いの?メリットや問題は?

Steam

個人ゲーム開発者はSteamで販売する方が良いのか

本記事は個人ゲーム開発者(もしくはインディー開発)がSteamで自作のゲームを販売するほうが良いのかどうかについて、私なりの考えを解説するものです。

Steamでゲームを販売するための手順の流れについては以下のページをご確認ください。
ちなみに筆者がSteamに登録を申請したゲームは以下のものです。興味があれば覗いてみてください。

Steamで販売する必要があるのかは良く考えた方が良いかも

私は先の記事でSteamでゲームを販売するまでの全体的な流れと手順について、詳しく解説しました。

その記事を読めば分かる通り、Steamでの販売は複雑で時間の掛かる登録作業に加えて、$100といった金銭の支払い、大量の個人情報の提出などが必要であり、軽い気持ちで始めると挫折する人が多いと思います。

そのため、個人開発者やインディー開発者は本当に制作したゲームをSteamで販売するのが良いのかどうかについてはしっかりと考えることが重要だと感じます。

ここから先ではSteamで販売する必要が本当にあるのかどうかについて、私自身含めて少し考えた内容を語っていきます。

あくまで私の考えに依る部分が大きいので、これが正しい考え方という気もありませんし、そういったこととは関係なく一度Steamに出してみたいというのであれば、それも決して間違った判断ではないことをご留意ください。

私自身、あまり商業主義に偏った考えでゲーム制作をするのも見るのも好きではないので、あくまで頑張って作ったゲームをSteamで販売する際に留意しておくこと、というくらいの温度感で見ていただければと思います。

Steam で販売する最大のメリット

Steamで販売する時の最大のメリットは「多くのユーザー(特に海外)に作品を買ってもらえる可能性が圧倒的に増える」という部分にあるのは間違いないでしょう。

実際にこれは、Steamで販売することを考えている人の一番大きな理由だと思います。

Steamこそが業界のデファクトスタンダードのため、海外含めた多くのユーザーに自分のゲームを遊んでもらいたいのであれば、Steamに出すというのは自然な考えだと思います。

ただ、海外ユーザーにも買ってもらえる可能性が大きくなるのは事実ですが、それはあくまで可能性の話であって、現実的に海外ユーザーに買ってもらえるかどうかは作品に大きく依存します。

自分の作品は良く出来ているから海外のユーザーにもきっと届くはずと思っているのであれば、それはそれで別に悪いことでは無いのですが、

無名の開発者やインディーが販売している、よく知りもしない作品を良いものと判断出来る、特殊能力を持った人間は極めて少数であると思います。

そのため、海外のユーザーに買ってもらえるゲームというのは、海外ユーザーに受けやすい特徴をもった作品である可能性が高く、逆に受けにくい特徴を持った作品はストアページを閲覧してもらうことすら難しくなると思います。

もちろん、世の中には例外的な作品もあり、受けにくい特徴を多数持ち合わせているにも関わらずに海外ユーザーに広く受け入れられたものもありますので、絶対的なものではないことをご理解ください。

海外ユーザーに受けやすいゲームの特徴

海外ユーザーに受けやすいゲームの特徴について、ChatGPT先生などにも確認して整理したものが以下です。

①海外ユーザーの需要が多いジャンルであること
②ローカライズ対応が幅広いこと(最低でも英語は必要)
③ストアページのトレーラーや画像のビジュアルが優れていること
④その作品でしか得られない何か(独自性)があること


他にも色々あると思いますが、挙げすぎるとキリが無いので絞っています。

これらの条件を満たしているゲームであれば、Steamで販売しても一切売れないという悲劇は少なくなると思いますが、それでも絶対に売れるとまでは言い切ることは出来ません。

①海外ユーザーの需要が多いジャンルであること

まず、当たり前の話として、海外ユーザーの需要がなければ無名のゲームを買ってもらえる可能性はかなり低くなります。

そのため、海外ユーザーの需要が多いジャンルがインディゲームで受けやすくなりますが、逆に言うと競争が非常に激しい分野であるとも言えます。

海外ユーザーに人気が高いジャンルは、アクション・RPG・FPS・TPS・サバイバルクラフト・MOBA・バトルロイヤル・スポーツ・SLG・ホラー・ソーシャル系といったものが挙げられます。

これらのジャンルであれば、個人やインディーでもストアページを見て貰える確率は多少上がると思いますが、大手や有名インディーと競合する可能性が高いジャンルなので、差別化のための対策(価格やインパクトの強い独自要素など)が求められるようです。

全く差別化出来ていないと、数あるインディーの中の一つとして埋もれてしまい、ジャンル全体の需要があったところで、買ってもらえる可能性は低くなります。

逆にこれらのジャンルをあえて外して、ニッチな需要を狙いに行くという戦略も無くはないので、そこは開発者側の考え次第に依るでしょう。

現実的な話として、大手や有名インディーと競合して個人開発者が勝てる訳がないので、ニッチな需要を狙いに行く方が成功する可能性は高いかもしれません。

また、複数人での協力プレイ(マルチプレイ)が出来るインディー作品は人気が出やすいみたいですが、ネットワークの管理などがあるので個人開発者では難しいかもしれませんね。

②ローカライズ対応が幅広いこと

②のローカライズ対応(各言語対応)も、日本語にしか対応していないゲームを海外ユーザが買うのは、よっぽどゲームに注目されていない限りは難しいので、当たり前のことと言えますね。

個人やインディーの開発者では、ローカライズ対応がSteamで販売する際の一番の障壁になっていそうですが、最低でも英語にだけは対応しておかないと、せっかく公開したゲームも海外ユーザーに見てもらえる可能性がほぼ無くなってしまいます。

ちなみに、Steamの言語別のユーザー数は2025年の8月の調査で次の画像のようになっています。
一番ユーザー数の多いのが英語で約35%、2番目の簡体字中国語が約26%となっていて、この2つの言語だけで、Steamのユーザーの60%以上を占めています。

そのため、本当ならこの2言語にゲームも対応しておくのが良いとは思いますが、簡体字中国語は翻訳の難易度が高く、機械翻訳したような内容で出すと低評価の嵐となることが多いらしいです。

なので、簡体字中国語は余裕があれば専門の翻訳者に依頼するのが良いというところで、基本的に英語対応だけは最低限しておくということを意識するのが良いと思います。

ただ、ゲームとして言語をほとんど意識しないようなゲーム性に仕上げているのであれば、ローカライズ対応は不要か、もしくは僅かの作業で済むかもしれません。

実際、Steamのストアページ公開時の対応言語のところにも、どんな言語でもプレイ可能であれば、全てにチェックを付けられるので販売時は非常に有利に働くと思います。

まぁ、言語を全く使わないゲームって逆に作るのが難しい気はしますが・・・。

③ストアページのトレーラーや画像のビジュアルが優れていること

①②を満たしていればストアページを閲覧してもらえる可能性は高くなるので、最後の③でゲーム自体を面白そうと思ってもらえれば、海外ユーザーに買ってもらえる可能性が大きく高まると思います。

逆にストアページの動画や画像の作りが微妙だと、海外ユーザーも離れてしまいますので、惹きつけられるようなページに出来るか開発者の腕の見せ所ですね。

特に1つ目のトレーラーの影響はかなり大きいようで、この動画の最初の5秒~10秒くらいを見て購入するかどうかを判断する人が非常に多いらしいです。

そのため、動画の最初の5秒くらいには、動くゲーム画面を見せるようなものにしておかないと、海外ユーザーは一気に離れてしまうリスクがあるので、その部分は意識しておくのが良いかと思います。

※最初に長いロゴや文字、動かない画像などを見せるのは、最悪に近いトレーラーとChatGPT先生が言っていました

また、ビジュアルが優れている方が良いのはもちろんですが、動画であれば音楽や演出なども重要視されているようなので、見ている人が購入したくなるような動画を意識して作るのが良いでしょうね(私にはそんな技術ありませんが・・・)。

④その作品でしか得られない何か(独自性)があること

これは個人とかSteamとかそういう次元の話ではなく、ゲーム業界全体に共通する話になるかもしれませんが、完全新作で人気になるゲームというのは大概が独自色の強い要素を持っています。

特に現在インディーゲーム界隈というのはレッドオーシャン(競争過多の業界)となっており、単にクオリティが高いだけの完全新規のゲームでは厳しいと言われています。

独自性というのを一言で説明するのは難しいのですが、ようはその作品をプレイすることでしか得られない何か(体験や学び、爽快感など)があるということです。

「Minecraft」「Undertale」「パルワールド」等はその代表格のようなゲームですが、これらのゲームは他のゲームには無い独自性で新規タイトルにも関わらず、世界的に大ヒットしました。

中には賛否が別れるようなものもありますが(特にパルワールドとか)、大手では出来ないインディーらしいゲームと言えると思います。

独自性も様々なタイプが有り、「ストーリー」「世界観」「ゲーム性」「デザイン」「音楽」「演出」等のいずれかが独自性が強い場合や、複数を組み合わせて唯一無二のゲームに仕上げているものもあります。

ただ、これは大手ゲームや有名インディーですら、独自性の強いゲームを作ることに難儀していますので、個人レベルで独自性を出していくのは非常に難しいかもしれません(逆に個人やインディーだから出来ることもあると思います)。

例えば、私の作っている魔法少女のアクションゲームは、探せばSteamにいくつも魔法少女ものも、アクションゲームもありますので、それらと明確な差別化出来る要素がないと、現実的に大ヒットということにはならないでしょう。

そのため、これからゲームを作ってSteam等で販売していこうと考えている人は、ゲームを作り始める前に一度自分のゲームにどんな独自性を持たせることが出来るのかを考えてみることをオススメします。

難しいのは、独自性というのはゲームを遊んでもらえないと伝わらないものも多く、そもそも無名インディー作品は遊んでもらえることが少ないので、どれだけ独自性があっても結局販売数には繋がらないということも良く起きているのだと思います。

ちなみに最近のインディーゲームは独自性を出すためか分かりませんが、ドンドン過激な表現のゲームが増えたり、理不尽なまでの高難度ゲームが増えているように感じますね。
ここまで色々と海外ユーザーに受けやすいゲームの特徴を挙げましたが、他にも重要なこととして海外向けのSNS投稿で露出を増やしておくとか、個人レベルでも出せる広告を出しておくとかの方法で、別口でゲームに注目を集めることも出来ます。

そういった販売戦略の総合力で最終的にどの程度売れるのかなどは決まってきますので、ここで挙げた特徴をすべて満たしたゲームを作ったとしても、本当に海外ユーザーに買ってもらえるかは誰にも分からないということだけは伝えておきます。

海外ユーザーに受けにくいゲームの特徴

次に海外ユーザーに受けにくいゲームの特徴について挙げたいと思います。

①海外ユーザーの需要が低いジャンルであること
②ローカライズ対応がされていないこと(日本語のみ)
③ボリュームが小さすぎるゲーム


これも受けやすいゲームと同じで挙げていけばキリがないので、この3つに絞っています。

見れば分かる通り、海外ユーザーに受けやすいゲームの反対の特徴を持ったゲームがそのまま受けにくいゲームとなっています。

①海外ユーザーの需要が低いジャンルであること

海外ユーザーに受けやすいゲームのところで解説した通り、そもそもの需要が小さいジャンルだと、それだけで買ってもらえる可能性が低くなります。

特に海外ユーザーの需要が低いジャンルとしては、コマンド式のターン制RPG・ビジュアルノベル・恋愛シミュレーション・パズル・VR・SRPG・カードゲーム・音楽ゲーム等とされています。

注目すべき事実としては、日本の個人開発者がよく作成しているツクール製のコマンド式のターン制RPGやビジュアルノベルゲーム、恋愛シミュレーションといったものは、海外ユーザーの人気は低めということです。

もちろん、このジャンルでも例外的に大人気となったゲームはいくつもありますし、一部の層にはかなり刺さるジャンルでもあるのですが、それ以上に大多数のこのジャンルのゲームがほとんど売れないまま終わっているのが現実のようです。
やはり、海外のPCユーザーには派手に動かせたりするゲームのほうが人気が出やすいため、パズルなどのスマホ向きのものも人気が出にくい傾向があるみたいですね。

VRは専用の機材が必要となるので需要自体は小さいですが、一部のインディーVR作品が爆発的にヒットするなどもあるようで、割と夢はあるジャンルなのかもしれません。

SRPGはファイヤーエンブレムのような形式のゲームですが、これもニッチな需要はそれなりにあるようですが、海外ユーザー全体から見れば需要はかなり小さいらしいので、爆発的なヒットみたいなことはかなり少ないようです。

カードゲームや音楽ゲームも日本人には割と人気がありますが、海外ユーザーの需要は低めで、大手のゲーム以外で売れるのは割と厳しい感じとのことです。

とは言え、ジャンル自体の人気が低めのゲームであっても、イラストが極めて綺麗だとか、ゲーム性が非常に独特で口コミで広がっていくというケースもありますので、低人気のジャンルだからという理由だけで、Steam販売を諦める必要はないと思います。

逆にスマホ向けであれば、ノベルゲームや恋愛シュミレーション、パズルなどはそれなりの需要があると思いますので、これらのゲームを作るのであればスマホ向けのゲームとして出すほうが良いかもしれません(ツクール製のゲームは難しいかもしれませんが)。

②ローカライズ対応がされていないこと(日本語のみ)

これも海外ユーザーに受ける特徴で解説した通りですね。

そもそも日本語にしか対応していない時点で、日本語を理解できる海外ユーザーでかつ自分のゲームに興味を持っているという人という狭い範囲の人にしか買ってもらえる可能性がなくなります。

ああ、もちろん日本人と海外在住の日本人などにも買ってもらえる可能性はありますが、 Steam の最大のメリットである海外ユーザーに買ってもらえる可能性はほぼ無くなります。

そのため、Steamで販売するのであれば最低でも英語には対応しておきたいと言うか、英語にすら対応しないのであれば、Steamで出す意味がかなり薄くなるということを理解する必要があります。

英語にさえ対応しておけば、メインの言語が他の国のユーザーであっても、英語版があるならやってみるという人もそれなりには出てくると思われるので、英語だけは抑えておくというのが個人開発者にも必要な認識になるかと思います。

③ボリュームが小さすぎるゲーム

3つ目は少し意外かもしれませんが、ボリュームが小さすぎるゲームも海外ユーザーには受けにくい傾向としてあるようです。

Steamでゲームを購入する海外ユーザーはお金を払う以上は基本的にしっかりとゲームをプレイしたいという層が多く、ボリュームが少なすぎるゲームというだけで低評価が付きやすくなるようです。

具体的には、1時間にも満たないようなミニゲーム集やイラスト集、純粋にゲームとしての中身がスカスカのようなものなどが対象となります。

これらの考え方はゲームの価格面にも影響していて、海外では個人やインディーが制作したゲームの基準となる価格は $10(約1500円くらい)とされています。

この価格よりも大幅に安いと海外ユーザーからは、あまり力の入っていないミニゲームだろうと思われて、期待値や購買欲が結構下がってしまう傾向が強いようです。

逆に有名な大手インディーやかなり力の入っているゲームであれば、$40(約6000円)くらいの価格で販売していても、納得感は高いらしいです(現にシルクソングは$20ではなく$40で出すべきという声も多いみたい)。

そのため、基本的には$10に近い価格でゲームを出すことになるのですが、この$10に見合っていないボリュームのゲーム(プレイ時間が10時間未満が目安)は総じて評判が悪くなる可能性が高いとされています。

なので、Steamで販売を考える場合は、$10くらいの価格に見合ったボリュームを作り込まないと厳しいというのが現状のようですね。

ちなみに低価格路線でいくこと自体は全く駄目という訳では無いみたいですが、低価格で$10ゲームと同等の売上を稼ぐのは難易度がかなり上がるようです。

Steamで販売するかどうか判断

正直、海外ユーザーは意識せずに日本のユーザーだけに、買ってもらえれば良いと考えているのであれば、日本の大手販売サイト(DLsiteやDMM等)で販売するだけでも基本的には十分だと考えています。

もちろん、Steamで販売したという実績が欲しい場合、純粋にSteamというプラットフォームで挑戦したかった、日本の販売サイトを利用していない日本ユーザーを取り込みたかった等の理由があれば、Steamを利用することを否定する気はありません。

実際、日本ユーザー向けに販売したい場合でもDLsiteやDMMといったサイトは成人向けゲームや美少女ゲームの販売は強いですが、そういった要素が少ないゲームの販売は厳しい部分もあります。

そもそもSteamを使わないよりは使うほうが可能性は広がるので無駄にはなりませんし、次のゲーム以降で海外ユーザーに向けて展開したい場合の布石にもなるので、むしろ使う気があるのであれば積極的に使うべきだとは思っています。

とは言え、現実的な話として、Steamでゲームを販売するまでには非常に数多くの作業が必要で大変ですし、Steamにさえ出せれば自分のゲームが凄い売れるはずという期待を持って販売すると、想像以上に売れなくてショックを受ける人も出てくると思います。

特に個人開発者の中には「魅力的なストーリーが自慢です」という人も多いとは思いますが、他の言語に翻訳した際にその魅力が伝わる可能性も大幅に減ってしまうので、文章(ストーリー等)が主体のゲーム自体がかなり苦戦を強いられると思います。

そういった理由から、海外ウケが難しいジャンルのゲームを作っていてかつ、英語などのローカライズ対応もしていないゲームを販売したいという人は、いきなりSteamに挑戦ではなく、日本の大手販売サイトだけでも十分ではないかと私は感じました。

更に現実的に考えてみる(販売本数や売上と利益の計算)

もう少し踏み込んで、現実的に個人ゲーム開発者がSteamでゲームを販売した時に、どの程度の販売本数、売上、利益を上げることが出来るのかを考えてみます(これはSteamで販売すべきかどうかの話から逸れるので飛ばしてOKです)。

ただ、ここ辺の数字は販売するゲームによって大きく変わってくるため、あくまで目安の一つとして理解しておいてください。

まず、個人開発やインディーゲームの販売数は「レビューの数×30~50」くらいになるというのが、多くの個人やインディー開発者の意見として良く言われています。

実際に Steam の無名インディー作品を自分でも調査して欲しいのですが、大体レビュー数が数件~30件未満のものが非常に多いことが分かります。

つまり、ほとんどの個人開発者のゲームは多くても1000本未満の販売数であり、100本未満のものも珍しく有りません。

海外の調査では平均的なインディー作品は1000~5000本程度の販売数とされているのですが、これは英語圏のデータなので、日本だと恐らく上記くらいの販売本数が一般敵でしょう。

仮に$10のゲームを1000本販売できたとしたら、どの程度の売上と利益が出るのかを計算してみます。

【Steam の販売本数から売上と利益の計算】
売上:$10 × 1,000 = $10,000(約150万円)
利益:$10,000 ー $3,000(Steamの取り分が30%) = $7,000(約105万円)
税金:$7,000 ー $1,4000(所得税と住民税で約20%) = $5,600(約83万円)


現実的には更にここからゲームの制作に掛かった費用が引かれますし(税金対策は可能)、Steamからの支払ドルを円に変える時に送金コストや為替コストも多少かかります。

結論としては、1,000本の販売数ですら個人ゲーム開発者にはかなりの難題にも関わらず、仮に1,000本販売しても、実際の利益は非常に限定的だということですね。

ほとんどのゲーム開発者は数十本から数百本程度しか販売できないことを考えると、Steamで販売する際のクレジットもありますので、現実的には赤字となっている人の方が多いくらいではないかと思います。

それに今回は分かりやすく$10で計算しましたが、実際にSteamでゲームが売れるときというのはセール期間中であることが多く、実際のゲーム価格は$8以下となっていることが多いでしょう。

これらのことから、開発期間や制作コストなどにも依りますが、個人ゲーム開発者として生活を目指したいのであれば、年に最低でも5000本、出来れば1万本程度を売れるようにならないと、現実的には厳しいということになります。

こういった現実を考えれば、少しでも可能性を広げるために海外ウケの良いゲームであることが、どれだけ重要なことかが分かるかと思います(日本ユーザーだけを対象にしたゲームで上記の売上は非常に困難ということが分かると思います)。

まとめ

今回は個人ゲーム開発者やインディー開発者がSteamでゲームを販売する際に考えるべきことについて記事にしました。

人によっては「自分のゲームが売れないと言われているようで腹が立った」みたいな人もいるかも知れませんが、一応私なりに調べた結果の内容ですので、この記事の内容なんて信じない!という人がいれば、それでも別に問題ないと思います。

そもそも、最初にも述べたように私自身、商業主義的な考えでゲームを制作するのは好きではありませんので、売れるとか売れないとか関係なくSteamに出したいのなら、それでも構わないとは思っています。

この記事で言いたいことは、Steamで販売することの大変さと、仮に販売したところで海外ユーザーの需要を満たしていないゲームが、労力に見合っただけの販売数を獲得するのは厳しいという事実だけです。

そして、その事実を受けてゲーム制作を諦めてしまうような人が出て来るんじゃないかという危惧から、私はこの記事を書きました。
実際の販売本数や売上という話しは、どうしてもSteamで販売する以上はついて回るので、先に現実を理解してもらうことで、成功するための計画を立ててから挑めるのではないかと私は考えています。

ちなみに海外ウケの話をしましたが、正直インディーゲーム業界自体がレッドオーシャン気味のため、どれだけ海外ウケを狙っても、よっぽど独自性の高いゲーム以外は大ヒットになる可能性は非常に低いとは思います。

もっと言うと、仮にゲームがどれだけ面白くても、宣伝力が低いと全く売れないということも起こり得るので、販売数を伸ばすためにはゲームの完成度よりも、宣伝方法の方が大事になってくるかもしれません。

今回は挙げませんでしたが、最近のゲームは配信&SNS映えするかが非常に重要となっており、SNSで様々な切り抜きや実況動画が拡散されることで、販売数に大きく影響することが周知の事実となっています(ある意味この要素が一番重要かもしれません)。

こういった販売に関することは考え始めればキリがありませんし、そもそも絶対の正解なんてものは存在しないと思いますので、今回はSteamで自分のゲームを出すかどうかだけ、考えてもらえればそれで良いかと思います。

個人的には他にも色々思っていることはありますが、これ以上は蛇足にしかなりませんので、本記事はここで終わりにしたいと思います。興味があれば他の記事も閲覧してみてください。

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