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【仏教の原典④】仏教の世界観と仏たち ― 六道輪廻・涅槃と如来・菩薩を解説

【仏教の原典④】仏教の世界観と仏たち ― 六道輪廻・涅槃と如来・菩薩を解説

当サイトを閲覧いただきありがとうございます。本記事は、仏教の原典を解説するシリーズの第4弾です。

前回(記事③)は、大乗仏教と主要な経典を解説しました。今回は、それらの経典が描く仏教の世界観(六道輪廻・涅槃)と、お寺で出会う数多くの仏・菩薩たちを見ていきます。

仏教の原典全体の見取り図については、以下のまとめ記事を参照してください。

【神話・宗教の原典解説】仏教の原典まとめ ― 三蔵と主要経典の全記事一覧senkohome.com/myths-religions-origins-buddhism/

六道輪廻 ― 生き物がさまよう6つの世界

仏教の世界観の根本にあるのが「輪廻(りんね)」です。これはインド思想に共通する考え方で、生き物は死んでも終わりではなく、その行いに応じて、何度も別の生へ生まれ変わり続けるとされます。

その生まれ変わる先が、6つの世界「六道(ろくどう)」です。

六道輪廻 ― 行いに応じて生まれ変わる6つの世界 天道(てんどう) 神々の世界。なお苦はある 人間道(にんげんどう) 苦楽あり。悟りに最適 修羅道(しゅらどう) 争いの絶えない世界 畜生道(ちくしょうどう) 動物の世界。本能のまま 餓鬼道(がきどう) 飢えと渇きに苦しむ 地獄道(じごくどう) 最も苦しい世界 この6つの世界を、業(行い)に応じて延々と生まれ変わり続ける=輪廻 ※ 上の3つを三善道、下の3つを三悪道と呼ぶ
六道内容
天道神々が住む、楽の多い世界。ただし寿命が尽きれば再び輪廻する
人間道苦も楽もある人間の世界。悟りを目指すのに最も適しているとされる
修羅道阿修羅の世界。争いと怒りが絶えない
畜生道動物の世界。本能のままに生き、苦しみが多い
餓鬼道飢えと渇きに永遠に苦しむ亡者の世界
地獄道罪の報いを受ける、最も苦しい世界

注目すべきは、最上の「天道」でさえ、まだ苦しみから完全には自由でない点です。神々でさえ、寿命が尽きれば再び別の世界へ転生してしまう。六道のどこに生まれても、輪廻し続ける限り苦は終わらないのです。

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業(カルマ)と、輪廻からの解脱

では、何が生まれ変わる先を決めるのでしょうか。それが「業(ごう/カルマ)」です。業とは「行い」のことで、善い行いは善い結果を、悪い行いは悪い結果を、後の生にもたらすとされます(自業自得・因果応報)。

そして仏教の究極の目標は、この苦しみの輪廻そのものから抜け出すことにあります。それが「解脱(げだつ)」であり、たどり着く安らぎの境地が「涅槃(ねはん)」です。涅槃とは、煩悩の炎が「吹き消された」状態を意味します。執着を手放し、二度と生まれ変わらない安らぎに至ること――これこそ、ブッダが示した解放のゴールなのです。

十二縁起 ― 苦はどこから生まれるのか

では、その輪廻と苦は、そもそも何を原因として生じるのでしょうか。それを十二の段階の連鎖として説き明かしたのが「十二縁起(じゅうにえんぎ)」です。仏教の苦の分析の、最も精緻な核心とされます。

その連鎖は、おおむね次のように進みます。無明(むみょう=根本の無知)を出発点に、行(行為の潜在力)→ 識(識別作用)→ 名色(心身)→ 六処(六つの感覚器官)→ 触(接触)→ 受(感受)→ 愛(渇愛=激しい欲望)→ 取(執着)→ 有(生存)→ 生(生まれること)→ 老死(老いと死=苦)。つまり、真理を知らない「無明」と、それゆえに起こる「渇愛・執着」が、苦しみの輪廻を生み出しているというのです。

逆にいえば、出発点の無明を智慧によって滅すれば、この連鎖は次々とほどけ、苦は止まる。これを「還滅門(げんめつもん)」といいます。四諦が「苦の事実とその治療」を大づかみに示すとすれば、十二縁起は「苦が生じる仕組み」を一段ずつ解剖してみせたものだといえます。

須弥山と三千大千世界 ― 仏教が描く宇宙

では、六道の生き物たちは、いったいどんな世界のなかを巡っているのでしょうか。仏教は、壮大なスケールの宇宙像を描きました。

その中心にそびえるのが、巨大な聖なる山「須弥山(しゅみせん)」です。須弥山は海の中央に高くそびえ、その周囲を9つの山と8つの海(九山八海)が同心円状に取り巻き、太陽と月はこの須弥山の中腹をめぐると考えられました。いちばん外側の海には、東西南北に4つの大陸(四大州)が浮かび、私たち人間が住むのは、その南にある「南贍部洲(なんせんぶしゅう)」だとされます。

須弥山の上方には、神々の住む天界が層をなして広がります。仏教ではこの世界全体を、欲望にとらわれた「欲界」、清らかな物質の世界「色界」、物質を超えた精神だけの世界「無色界」という「三界(さんがい)」に整理しました。六道の生き物は、この三界のなかを巡り続けているのです。

さらに驚くべきは、その規模です。須弥山を中心とする一つの世界が1000集まって「小千世界」、それが1000集まって「中千世界」、さらに1000集まって「大千世界」になる――。この三段階の千倍を重ねた広大な宇宙を「三千大千世界(さんぜんだいせんせかい)」と呼びます。一つの仏が教化する範囲が、この三千大千世界だとされました。仏教が、いかに途方もない時間と空間のスケールで世界をとらえていたかがうかがえます。

仏たちの4つのランク

お寺にはさまざまな仏像がありますが、実は仏教の「仏(ほとけ)」には、はっきりした階層があります。大きく4つに分けて整理すると、わかりやすくなります。

分類位置づけ
如来(にょらい)すでに悟りを開いた、最高位の仏
菩薩(ぼさつ)悟りを求めつつ、人々を救う修行者
明王(みょうおう)怒りの姿で人々を導く、密教の仏
天部(てんぶ)仏教を守護する神々(多くはインドの神の出身)

如来 ― 悟りを開いた仏

「如来」は、すでに悟りに至った最高位の仏です。装飾を持たない簡素な姿で表されます。

如来司るもの
釈迦如来悟りを開いたブッダそのもの。仏教の開祖
阿弥陀如来西方の極楽浄土を司り、念仏する者を救う
薬師如来東方の浄土に住み、病を癒やし現世の苦を救う
大日如来密教の根本仏。宇宙の真理そのものを体現する

中でも「大日如来」は、密教において宇宙のすべてを生み出す根本の仏とされ、他のあらゆる仏は、この大日如来の現れであると考えられます。華厳経の「毘盧遮那仏」(東大寺の大仏)も、これと同一視されます。

菩薩 ― 人々を救う慈悲の存在

「菩薩」は、自らの悟りを完成させる力を持ちながら、苦しむ人々を救うためにこの世にとどまる存在です。冠や装飾を身につけた、王子のような姿で表されます。私たちに最も身近な仏でもあります。

菩薩司るもの
観音菩薩(観世音)慈悲の菩薩。人々の声を聞き、姿を変えて救う。千手観音など
地蔵菩薩地獄に落ちた者や子供を救う。道端のお地蔵さま
文殊菩薩「三人寄れば文殊の知恵」で知られる、智慧の菩薩
普賢菩薩慈悲の実践(行)を司る菩薩
弥勒菩薩釈迦の次に仏となる「未来仏」。今も修行中とされる

とりわけ「観音菩薩」は、相手に応じて千変万化の姿で現れ、あらゆる苦しみから救うとされ、最も広く信仰を集めています。また「弥勒菩薩」は、ブッダの入滅から56億7000万年後にこの世に現れ、人々を救うとされる未来の仏として知られます。

明王と天部 ― 守りの仏と、神々

残る2つも見ておきましょう。

「明王」は、主に密教で信仰される仏で、恐ろしい怒りの形相で表されます。これは、優しく諭すだけでは救えない人々を、力ずくでも正しい道へ導くための慈悲の現れです。炎を背負った「不動明王」が代表で、大日如来の化身とされます。

「天部」は、仏教を守護する神々です。その多くは、もともとインドの神々(バラモン教・ヒンドゥー教の神)が、仏教に取り込まれて守護神となったものです。たとえば、創造神ブラフマーは「梵天」、雷神インドラは「帝釈天」、女神サラスヴァティーは「弁才天」、死を司るヤマは「閻魔(えんま)」として、仏教世界に取り入れられています。インド神話の神々が、姿を変えて日本のお寺にいる――これは、仏教の歴史の面白さを物語っています。

もっと深く知りたい方へ

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まとめ

本記事では、仏教の世界観と、数多くの仏・菩薩たちを詳しく解説しました。如何だったでしょうか。

生き物が業に応じて六道を生まれ変わり続ける輪廻と、そこから抜け出す涅槃という世界観。そして、悟りを開いた如来、人々を救う菩薩、守りの明王・天部という、豊かな仏たちの世界をつかんでいただけたかと思います。

次回の記事⑤(最終回)では、仏教がインドから世界へ広がり、上座部・大乗・密教、そして日本の禅・浄土・日蓮などの宗派へと枝分かれしていった歴史を解説していきます。

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それでは次の記事も閲覧いただけると幸いです。