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【神話・宗教の原典解説】キリスト教の原典②:旧約聖書(歴史書)を1巻ずつ解説

【神話・宗教の原典解説】キリスト教の原典②:旧約聖書(歴史書)を1巻ずつ解説

当サイトを閲覧いただきありがとうございます。本記事は、世界の神話・宗教の「原典」を解説するシリーズの一篇で、キリスト教の聖書を扱う記事の一つです。

前回(旧約①)は、旧約聖書の最初の区分「律法(モーセ五書)」の5巻を解説しました。本記事では、それに続く「歴史書」12巻を取り上げ、約束の地に入ったイスラエル民族の約700年の歩みを、1巻ずつ見ていきます。

律法(モーセ五書)の解説はこちらの記事を参照してください。

【神話・宗教の原典解説】キリスト教の原典①:旧約聖書(律法・モーセ五書)を1巻ずつ解説senkohome.com/myths-religions-origins-christianity-ot1/

本記事で解説する範囲

まず、聖書66巻の全体の中で、本記事がどの部分を扱うのかを確認しておきましょう。

聖書66巻の全体構成(本記事の範囲) 旧約聖書(39巻)— イエス誕生以前 新約聖書(27巻) 律法 5巻(前回) 歴史書 12巻 詩歌・知恵 5巻 (次記事) 預言書 17巻 (次記事) 福音書 4巻 歴史 1巻 書簡 21巻 預言 1巻 ↑ 本記事(歴史書12巻)

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歴史書(12巻)とは

律法(モーセ五書)に続く12巻は「歴史書」と呼ばれ、約束の地カナンに入ったイスラエル民族が、国家として栄え、やがて滅び、再び立ち上がるまでの約700年の歩みを描きます。

この長い歴史を貫くのは「神に忠実であれば祝福され、背けば滅びを招く」という一貫した視点です。

まず、12巻が扱う時代の大きな流れを図で確認しておきましょう。

歴史書が描くイスラエルの歴史の流れ カナン征服 ヨシュア記 約束の地に入る 士師の時代 士師記・ルツ記 王のいない混乱期 統一王国 サムエル記・列王記 サウル→ダビデ→ソロモン 王国分裂 列王記・歴代誌 南ユダと北イスラエル 滅亡・捕囚 北=前722/南=前586 バビロン捕囚 帰還・再建 エズラ・ネヘミヤ エルサレム再興 紀元前1200年頃 紀元前1000年頃(ダビデ王) 紀元前440年頃 ※ 歴史書は「神への忠実が栄え、背信が滅びを招く」という視点で約700年を描く

12巻の内訳は以下のとおりです。

巻名章数扱う時代・内容
第6巻ヨシュア記24章カナンの地の征服と分配
第7巻士師記21章王のいない士師の時代
第8巻ルツ記4章士師時代の異邦人の女性の物語
第9巻サムエル記 上31章初代王サウルとダビデの登場
第10巻サムエル記 下24章ダビデ王の治世
第11巻列王記 上22章ソロモンの繁栄と王国分裂
第12巻列王記 下25章両王国の滅亡とバビロン捕囚
第13巻歴代誌 上29章系図とダビデの治世(礼拝中心の再叙述)
第14巻歴代誌 下36章神殿建設から捕囚、帰還勅令まで
第15巻エズラ記10章捕囚からの帰還と神殿再建
第16巻ネヘミヤ記13章エルサレムの城壁再建と共同体の刷新
第17巻エステル記10章ペルシアでのユダヤ人救出の物語

第6巻 ヨシュア記(ヨシュアき)

項目内容
章数全24章
主な舞台約束の地カナン
主な登場人物ヨシュア、遊女ラハブ
中心テーマ約束の地カナンの征服と、12部族への土地分配

モーセの後継者となった「ヨシュア」が、いよいよイスラエル民族を率いて約束の地カナンへ攻め入る巻です。

物語は、エジプト脱出のときと同じようにヨルダン川の水が堰き止められ、民が乾いた川底を渡る奇跡から始まります。

最初の関門となった城塞都市エリコでは、神の指示どおりに軍が7日間、城の周りを回り、7日目にときの声を上げてラッパを吹き鳴らすと、「巨大な城壁が音を立てて崩れ落ちた」とされています。

その後も征服は進みますが、ギベオンでの戦いでは、ヨシュアが「日よ、とどまれ」と祈ると太陽が天の中空で止まり、戦いを完遂できたという逸話も語られます。

カナンを征服した後、ヨシュアはその土地をイスラエル12部族に分配します。

巻の最後で、ヨシュアは民に向けて、これからどの神に仕えるのかを選ぶよう迫り、自らの決意を「わたしとわたしの家とは、主に仕える」という有名な言葉で表明します。

第7巻 士師記(ししき)

項目内容
章数全21章
主な舞台カナンの地
主な登場人物デボラ、ギデオン、サムソン
中心テーマ王のいない時代の、堕落と救いの繰り返し

ヨシュアの死後、まだ王のいなかったイスラエルを、その時々に神が立てた指導者「士師(さばきつかさ)」が導いた時代を描きます。

この時代には、一つの明確なパターンが繰り返されます。

①民が神を忘れて偶像を拝む → ②神が外敵に民を苦しめさせる → ③民が苦しんで神に助けを求める → ④神が士師を遣わして救う → ⑤平和が訪れるが、やがてまた①に戻る

この堕落と救いのサイクルが、本書全体の骨格となっています。

主な士師功績
デボラ女預言者として軍を率い、カナン軍を撃破した
ギデオンわずか300人の精鋭でミディアンの大軍を打ち破った
サムソン怪力でペリシテ人と戦った英雄。最期は神殿もろとも敵を倒した

特に怪力の士師「サムソン」は、髪に力の秘密がありましたが、恋人デリラに裏切られて髪を切られ、捕らえられてしまいます。しかし最後に力を取り戻し、敵の神殿の柱を倒して多くのペリシテ人を道連れにしました。

巻の最後は「そのころ、イスラエルには王がなく、人々はめいめい自分の目に正しいと見えることを行っていた」という一文で締めくくられ、王を求める次の時代への伏線となります。

第8巻 ルツ記(ルツき)

項目内容
章数全4章
主な舞台モアブ 〜 ベツレヘム
主な登場人物ルツ、ナオミ、ボアズ
中心テーマ異邦人の女性の信仰と、ダビデ王へつながる系譜

混乱した士師の時代を背景にしながらも、一転して温かい家族の物語が語られる短い巻です。

飢饉を逃れてモアブに移り住んだイスラエル人女性ナオミは、そこで夫と2人の息子を失ってしまいます。故郷へ帰ろうとするナオミに、モアブ人の嫁「ルツ」「あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です」と告げて従います。

ベツレヘムに移ったルツは、落ち穂を拾って生計を立てるうちに、親族の有力者「ボアズ」と出会い、結婚します。

そして2人の間に生まれた子オベデが、後のイスラエル最大の王ダビデの祖父となります。つまりこの物語は、「異邦人の女性が信仰によってイスラエルの王家、ひいては後のイエス・キリストの系図に連なった」ことを示す重要な記録なのです。

第9巻 サムエル記 上(サムエルきじょう)

項目内容
章数全31章
主な舞台イスラエル全土
主な登場人物サムエル、サウル、ダビデ
中心テーマ王政の始まりと、初代王サウルからダビデへの移行

最後の士師にして預言者でもある「サムエル」を中心に、イスラエルに王政が始まる経緯を描きます。

民が「ほかの国々のように、私たちを治める王が欲しい」と求めたため、サムエルは神の指示に従い、サウルに油を注いで初代の王とします。

しかしサウルは次第に神の命令に背くようになり、王として退けられてしまいます。代わりに神が選んだのが、ベツレヘムの羊飼いの少年「ダビデ」でした。

ダビデの名を一躍有名にしたのが、ペリシテの巨人「ゴリアテ」との対決です。3メートル近い巨体のゴリアテは、毎日イスラエル軍を罵り「誰か一騎打ちで勝負しろ」と挑発し、兵士たちは皆おびえて出られずにいました。

そこへ、兄たちに食料を届けに来ていた羊飼いの少年ダビデが名乗りを上げます。王が授けた鎧や剣を「慣れていないから」と断り、ダビデはわずか5つの石と投石器(羊を狼から守るための道具)だけを手に進み出ました。

巨人がダビデを侮って近づくと、ダビデは「お前は剣と槍で向かってくるが、私は万軍の主の名によって立ち向かう」と宣言します。そして放った1つの石がゴリアテの額に命中し、巨人は倒れました。ダビデはそのままゴリアテの剣で首を打ち落とし、勝利を収めます。この物語は、力ではなく神への信仰によって強大な敵に打ち勝つ象徴として、現代でも「ダビデとゴリアテ」の名で語り継がれています。

英雄となったダビデに民の人気が集まると、サウルは激しく嫉妬し、ダビデの命を執拗に狙うようになります。それでもダビデは、サウルを殺せる機会が訪れても「主が油を注がれた者」に手をかけることを拒みました。やがてサウルは戦死し、物語は次の巻へと続きます。

第10巻 サムエル記 下(サムエルきげ)

項目内容
章数全24章
主な舞台エルサレム
主な登場人物ダビデ、預言者ナタン、バト・シェバ、アブサロム
中心テーマダビデ王の栄光と罪、そして家庭の悲劇

ダビデが名実ともに王となり、イスラエルを統一する巻です。

ダビデは難攻不落の都市エルサレムを攻め落として首都とし、神の臨在を象徴する「契約の箱」を都に運び入れて、信仰の中心地としました。

ここで極めて重要な約束が与えられます。神は預言者ナタンを通じて、「あなたの家(王朝)と王国は、わたしの前にとこしえに続く」と告げます。これが「ダビデ契約」で、後に「救い主(メシア)はダビデの子孫から生まれる」という、キリスト教の根幹をなす待望の根拠となります。

一方で、この巻にはダビデの大きな罪も記されています。彼は部下ウリヤの妻「バト・シェバ」を奪い、それを隠すためにウリヤを死地へ送って戦死させてしまいます。預言者ナタンに鋭く罪を指摘されたダビデは、深く悔い改めました。

しかしその後、ダビデの家庭は息子「アブサロム」の反乱など、悲劇に見舞われていきます。偉大な王であっても罪の報いは免れないという、聖書の厳しい一面が描かれています。

第11巻 列王記 上(れつおうきじょう)

項目内容
章数全22章
主な舞台エルサレム 〜 南北王国
主な登場人物ソロモン、預言者エリヤ
中心テーマソロモンの栄華と神殿建設、そして王国の分裂

ダビデの子「ソロモン」の治世から始まります。

ソロモンは即位の際、神から「何でも望むものを与えよう」と言われ、富や長寿ではなく「民を正しく裁くための知恵」を求めました。これに満足した神は、知恵に加えて富や栄誉までも与えます。

その知恵を象徴するのが「ソロモンの審判」です。1人の赤子を「自分の子だ」と争う2人の女に対し、ソロモンは「では、赤子を剣で半分に分けて与えよ」と命じます。すると一方の女が「それなら相手にあげてください、殺さないで」と泣いて訴えました。ソロモンは我が子を生かすために身を引こうとしたその女こそ本当の母だと見抜き、赤子を返したのです。

ソロモンはその栄華の頂点として、エルサレムに壮麗な「神殿」を建設しました。

しかし晩年、彼は多くの異国の妻たちの影響で偶像礼拝に傾き、堕落してしまいます。その結果、ソロモンの死後に重税への不満が爆発し、王国は北の「イスラエル王国」と南の「ユダ王国」に分裂してしまいました。

巻の後半では、偶像礼拝が蔓延した北王国に、預言者「エリヤ」が登場します。彼はカルメル山で、異教の神「バアル」の預言者450人と対決します。

両者が祭壇を築き、「天から火を降らせて、いけにえを焼いた方の神が本物だ」と勝負しました。バアルの預言者たちが朝から夕方まで叫び続けても何も起きません。一方エリヤは、わざと祭壇に大量の水を浴びせたうえで唯一神に祈ります。すると天から火が下り、水浸しのいけにえも祭壇も焼き尽くしました。こうしてエリヤは、唯一神こそが本物であることを劇的に示したのです。

第12巻 列王記 下(れつおうきげ)

項目内容
章数全25章
主な舞台南北王国 〜 バビロン
主な登場人物預言者エリシャ、両王国の歴代の王
中心テーマ二つの王国の滅亡と、バビロン捕囚

エリヤの弟子「エリシャ」が数々の奇跡を行う場面から始まり、その後は分裂した南北両王国の、歴代の王たちの興亡が語られます。

多くの王が偶像礼拝に走り、神に背き続けた結果、北の「イスラエル王国」紀元前722年にアッシリア帝国によって滅ぼされます。

南の「ユダ王国」には、ヒゼキヤやヨシヤといった宗教改革を行う善王も現れましたが、全体としては堕落の流れを止められませんでした。そしてついに紀元前586年、新バビロニア帝国によってエルサレムは陥落します。

このとき、ソロモンが建てた神殿は破壊され、多くの民が捕虜としてバビロンへ連行されました。これが「バビロン捕囚」です。約束の地を失い、異国の地に連れ去られるという、旧約聖書最大の悲劇でこの巻は幕を閉じます。

第13巻 歴代誌 上(れきだいしじょう)

項目内容
章数全29章
主な舞台イスラエル
主な登場人物アダム〜ダビデ
中心テーマ系図と、礼拝の視点から描き直すダビデの治世

歴代誌は、サムエル記・列王記と同じ歴史を、捕囚から帰還した後の世代に向けて、別の視点から語り直した巻です。

その上巻は、まず「アダム」から始まる長大な系図に多くの紙幅を割きます。これは、捕囚で混乱した民に「自分たちが何者で、どの民族の末裔なのか」を改めて思い出させるためのものです。

後半ではダビデの治世が描かれますが、サムエル記のような人間ドラマ(罪や反乱)はほとんど省かれ、神殿での礼拝の準備や、賛美を担うレビ人の組織化に焦点が当てられます。つまり「礼拝の共同体」としての理想像を示すことが目的の巻なのです。

第14巻 歴代誌 下(れきだいしげ)

項目内容
章数全36章
主な舞台エルサレム 〜 バビロン
主な登場人物ソロモン、南ユダの歴代の王、ペルシア王キュロス
中心テーマ神殿建設から捕囚、そして帰還の希望まで

下巻は、ソロモンによる「神殿の建設」から始まり、南ユダ王国の歴史を、ひたすら「神への忠実さ」という観点から描いていきます。

物語は列王記と同じくバビロン捕囚で終わりますが、歴代誌はそこで終わりません。最後に、ペルシア王「キュロス」「エルサレムに神殿を建てよ」とユダヤ人の帰還を許す勅令を出す場面で締めくくられます。

つまり絶望(捕囚)で終わらせず、再建への希望をもって閉じるという点に、この巻の大きな意図があります。

第15巻 エズラ記(エズラき)

項目内容
章数全10章
主な舞台エルサレム
主な登場人物ゼルバベル、祭司エズラ
中心テーマ捕囚からの帰還と、神殿(第二神殿)の再建

ペルシア王キュロスの勅令を受け、約50年に及んだバビロン捕囚から、ユダヤ人がエルサレムへ帰還する場面を描きます。

まず総督「ゼルバベル」に率いられた人々が帰還し、周辺民族の妨害に遭いながらも、破壊された神殿を再建します(これを「第二神殿」と呼びます)。

その後、律法の専門家である祭司「エズラ」が帰還し、信仰がゆるんでいた共同体を律法に基づいて立て直す改革を進めます。

第16巻 ネヘミヤ記(ネヘミヤき)

項目内容
章数全13章
主な舞台エルサレム
主な登場人物ネヘミヤ、エズラ
中心テーマエルサレムの城壁再建と、信仰共同体の刷新

ペルシア王に仕える役人だった「ネヘミヤ」は、エルサレムの城壁が崩れたままだと聞いて心を痛め、王の許可を得て現地へ赴きます。

ネヘミヤは、周辺勢力の激しい妨害にもくじけず、人々を励ましてわずか52日でエルサレムの城壁を再建するという偉業を成し遂げます。

その後、祭司エズラとともに民の前で律法を朗読し、人々は涙して悔い改め、「改めて神との契約を守る」ことを誓います。こうして、捕囚で崩れかけた信仰共同体が再び立て直されました。

第17巻 エステル記(エステルき)

項目内容
章数全10章
主な舞台ペルシア帝国
主な登場人物エステル、モルデカイ、宰相ハマン
中心テーマペルシアに残ったユダヤ人を絶滅の危機から救う物語

歴史書を締めくくるのは、故郷に帰らずペルシア帝国に留まったユダヤ人たちの物語です。

ユダヤ人の娘「エステル」は、その美しさによってペルシアの王妃に選ばれます。

しかし時の宰相「ハマン」が、ユダヤ人を憎んで国中のユダヤ人を皆殺しにする陰謀を企てます。これを知ったエステルは、養父モルデカイの「あなたが王妃となったのは、この時のためかもしれない」という言葉に励まされ、命がけで王に直訴します。

その結果、ハマンの陰謀は暴かれ、彼は自らがユダヤ人のために用意していた処刑台にかけられ、ユダヤ人たちは救われました。この救いを記念して定められたのが、ユダヤ教の祭「プリム」です。

なお、エステル記は聖書の中で唯一、一度も「神」という言葉が登場しない巻として知られています。それでも物語の随所に、危機から民を救う神の見えざる導き(摂理)が描かれているとされています。

歴史書が描く「契約への忠実さ」というものさし

12巻の歴史書を通読すると、これらが単なる出来事の記録ではないことに気づきます。すべての歴史が、たった一つのものさし――「民は神との契約に忠実だったか」で測られているのです。

歴史書の語り口には、はっきりとしたパターンがあります。民や王が神に背いて偶像を拝むと、敵に攻められるなどの苦難が訪れる。民が悔い改めて神に立ち返ると、神は士師や王を遣わして救う。しかし、ほどなくまた背く――。この「背信 → 苦難 → 悔い改め → 救い」の繰り返しが、士師記からサムエル記・列王記まで、歴史を貫いています。

段階歴史書の流れ
約束の地の獲得ヨシュア記。カナンへの定住
不安定な時代士師記。背信と救いの繰り返し
王国の成立と栄光サムエル記・列王記。サウル・ダビデ・ソロモン
分裂と滅亡王国の南北分裂、そしてバビロン捕囚
帰還と再建エズラ記・ネヘミヤ記。神殿とエルサレムの再建

そして、栄華を誇ったイスラエルが最終的にバビロン捕囚という滅亡に至った理由を、歴史書は一貫して「民が契約を破り、神に背き続けたからだ」と説明します。歴史書とは、イスラエル民族が自らの興亡を「神との関係」という視点から振り返った、壮大な反省の書でもあるのです。この問題意識は、続く預言書(記事③)で、預言者たちの厳しい警告として、いっそう先鋭に響くことになります。

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まとめ

本記事では、旧約聖書の「歴史書」12巻を、ヨシュア記からエステル記まで1巻ずつ解説しました。如何だったでしょうか。

この12巻を通して、約束の地カナンの征服から、士師の時代、ダビデ・ソロモンの統一王国、王国の分裂、バビロン捕囚、そして帰還までという、イスラエル民族の約700年の歴史をたどることができました。

そこに一貫して流れているのは、「神に忠実であれば栄え、背けば滅びを招く」という視点です。栄光と滅亡、そして再建という歴史のうねりの中に、聖書全体を貫くテーマが繰り返し描かれていることが、おわかりいただけたかと思います。

次回の記事では、出来事の記録である歴史書とは性格が変わり、人間の生き方や信仰を歌と格言で扱う「詩歌・知恵文学」(ヨブ記・詩編など)と、神の言葉を預かった「預言書」(イザヤ書など)を解説していきます。

【神話・宗教の原典解説】キリスト教の原典③:旧約聖書(詩歌・知恵文学/預言書)を1巻ずつ解説senkohome.com/myths-religions-origins-christianity-ot2/

それでは次の記事も閲覧いただけると幸いです。