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【神話・宗教の原典解説】キリスト教の原典⑤:福音書 ― イエス・キリストの生涯と教えを解説

【神話・宗教の原典解説】キリスト教の原典⑤:福音書 ― イエス・キリストの生涯と教えを解説

当サイトを閲覧いただきありがとうございます。本記事は、世界の神話・宗教の「原典」を解説するシリーズの一篇で、キリスト教の聖書を扱う全8記事のうちの第5弾です。

前回までの4記事で旧約聖書39巻を解説してきました。ここからはいよいよ「新約聖書」27巻に入ります。新約聖書は内容が極めて濃いため、本シリーズでは4つの記事(⑤福音書/⑥使徒言行録/⑦書簡/⑧ヨハネの黙示録)に分けて、じっくり解説していきます。

本記事で扱うのは、その中心である「福音書」4巻――すなわちイエス・キリストの生涯と教えです。

旧約聖書の解説はこちらの記事を参照してください。

【神話・宗教の原典解説】キリスト教の原典①:旧約聖書(律法・モーセ五書)を1巻ずつ解説senkohome.com/myths-religions-origins-christianity-ot1/

新約聖書27巻の全体像

新約聖書は、内容によって大きく4つの区分に分けられます。本シリーズでは、この区分ごとに1記事ずつ解説します。

新約聖書27巻の構成(4記事で解説) 福音書 4巻 イエスの生涯と教え 本記事(⑤) 使徒言行録 1巻 教会の誕生と拡大 記事⑥ 書簡 21巻 使徒たちの手紙 記事⑦ 黙示録 1巻 世の終わりと完成 記事⑧ ※ 旧約39巻(記事①〜④)に続き、新約27巻はこの4区分・4記事で解説する
区分巻数内容解説記事
福音書4巻イエス・キリストの生涯と教え本記事(⑤)
歴史1巻イエス昇天後の教会の誕生と拡大記事⑥
書簡(手紙)21巻使徒たちが各地の教会・個人に宛てた手紙記事⑦
預言1巻世の終わりと完成を描く幻(黙示録)記事⑧

それでは、新約聖書の中心である福音書から見ていきましょう。

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福音書(4巻)とは

「福音書」とは、救い主イエス・キリストの生涯・言葉・十字架の死と復活を記した書のことです。「福音」とは「良い知らせ」を意味します。

同じイエスの生涯を、4人の著者がそれぞれの視点で描いたのが、マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの4つの福音書です。このうち最初の3つは内容や視点が似ているため「共観福音書」と呼ばれ、ヨハネによる福音書だけは神学的で独自の色合いを持っています。

4つの福音書が共通して描くイエスの生涯の大きな流れは、以下のようになります。

福音書が描くイエスの生涯 降誕 ベツレヘムで誕生 宣教 教え・奇跡・弟子 受難 十字架の死 復活 3日目によみがえる 昇天 天に上げられる ※ この「十字架の死と復活」こそが、キリスト教信仰の中心となる出来事
巻名章数特徴
第1巻マタイによる福音書28章ユダヤ人向け。イエスを旧約の預言の成就として描く
第2巻マルコによる福音書16章最古・最短。行動的なイエスを躍動的に描く
第3巻ルカによる福音書24章異邦人・弱者への愛。慈愛に満ちたイエスを描く
第4巻ヨハネによる福音書21章神学的。イエスを「神の子・神の言」として描く

第1巻 マタイによる福音書

ユダヤ人読者を強く意識して書かれた福音書です。冒頭がアブラハム・ダビデから続く「イエスの系図」から始まり、イエスこそ旧約聖書が予告してきた救い主(メシア)であることを、随所で旧約の引用とともに示します。

最大の見どころは5〜7章の「山上の説教」です。「心の貧しい者は幸いである」で始まる八つの幸い(八福)や、現在も世界中で唱えられる「主の祈り」など、イエスの教えの核心がここに凝縮されています。

第2巻 マルコによる福音書

4つの福音書の中で最も古く、最も短いとされる福音書です。

長い説教よりも、イエスが病を癒し、悪霊を追い出し、人々を救っていく「行動」を、テンポよく躍動的に描くのが特徴です。後半は一気にイエスの受難(十字架)へと焦点を絞っていきます。簡潔なため、福音書を初めて読む人に勧められることが多い巻です。

第3巻 ルカによる福音書

医者であったとされるルカが、丁寧な調査に基づいて書いた福音書です。病人・貧しい人・女性・異邦人といった社会的弱者への、イエスの温かいまなざしが際立っています。

飼い葉桶に寝かされた幼子イエスの降誕物語や、「善いサマリア人」「放蕩息子」といった有名なたとえ話は、この福音書にのみ記されています。

第4巻 ヨハネによる福音書

他の3つの福音書(共観福音書)とは大きく異なる、神学的・象徴的な福音書です。

冒頭の「初めに言(ことば=ロゴス)があった。言は神と共にあった。言は神であった」という一文が示すように、イエスを、天地創造以前から存在する神そのもの(神の子)として描きます。

「わたしは命のパンである」「わたしは世の光である」といった、イエス自身が自らの本質を語る言葉が多いのも特徴です。

イエスの生涯 ― 4つの福音書が伝える物語

4つの福音書は、それぞれ視点こそ違いますが、描いているイエス・キリストの生涯は共通しています。ここでは、福音書が伝えるイエスの生涯を、主な出来事に沿ってたどっていきましょう。

降誕 ― 救い主の誕生

物語は、天使「ガブリエル」が、まだ結婚前の乙女「マリア」のもとを訪れる場面から始まります。天使は「あなたは聖霊によって男の子を身ごもる。その子を救い主と名づけなさい」と告げました(受胎告知)。

やがて、ローマ帝国の住民登録のためにベツレヘムを訪れたマリアと夫ヨセフでしたが、宿はどこも満員でした。そのため、生まれたばかりのイエスは家畜小屋の飼い葉桶(かいばおけ)に寝かされます。その夜、天使は野原の羊飼いたちに救い主の誕生を告げ、東方からは星に導かれた博士たちが、黄金・乳香・没薬を携えて礼拝に訪れました。

洗礼と荒野の誘惑

30歳ごろになったイエスは、ヨルダン川で人々に悔い改めを説いていた「洗礼者ヨハネ」から洗礼を受けます。そのとき天が開け、聖霊が鳩のように降り、「これはわたしの愛する子」という天からの声が響いたとされます。

その後イエスは荒野へ行き、40日間の断食をします。そこへ悪魔(サタン)が現れ、「石をパンに変えよ」「神殿から飛び降りてみよ」「ひれ伏せば世界をすべて与えよう」という3つの誘惑をしかけますが、イエスは聖書の言葉ですべてを退けました。

宣教の始まりと弟子たち

荒野から戻ったイエスは、ガリラヤ地方で「悔い改めよ、神の国は近づいた」と宣教を開始します。そして、漁師の「ペトロ」やその兄弟をはじめ、徴税人マタイなど、さまざまな経歴を持つ12人の弟子(使徒)を選び、行動を共にするようになりました。

山上の説教 ― 教えの核心

イエスの教えが最も凝縮されているのが、山の上で語った「山上の説教」です。「心の貧しい者は幸いである」で始まる「八つの幸い(八福)」や、「天におられるわたしたちの父よ」で始まる「主の祈り」がここで語られます。

さらにイエスは、「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」「人を裁くな」「狭い門から入りなさい」など、当時の常識を超えた新しい愛と生き方を説きました。

数々の奇跡

イエスは、その教えとともに数多くの「奇跡」を行い、自らが神の子であることを示しました。

  • 病人を癒し、目の見えない人の目を開き、悪霊を追い出す
  • 嵐で荒れる湖を、言葉ひとつで静める
  • 湖の上を歩く
  • わずか「5つのパンと2匹の魚」で、5000人もの群衆を満腹にさせる
  • 死んで墓に葬られた「ラザロ」を、生き返らせる

たとえ話

イエスはまた、目に見えない「神の国」や神の愛を、身近な「たとえ話」を用いて人々に分かりやすく説きました。

傷ついた旅人を、立場の違う者が助ける「善いサマリア人」(隣人愛のたとえ)や、財産を使い果たして帰ってきた息子を父が喜んで迎える「放蕩息子」(悔い改めと赦しのたとえ)などが、特に有名です。

エルサレム入城と最後の晩餐

過越祭の時期、イエスは「ろば」に乗ってエルサレムに入城します。人々はしゅろの枝を振って熱狂的に迎えました。しかしイエスが神殿で商売人を追い出すなど、既存の宗教指導者と対立を深めたことで、彼を殺そうとする動きが強まります。

そして、弟子の一人「ユダ」が、銀貨30枚でイエスを売り渡す裏切りを企てます。

捕らえられる前夜、イエスは弟子たちと食事をともにします(「最後の晩餐」)。このときイエスはパンを裂いて「これはわたしの体である」、杯を取って「これはわたしの血である」と告げました。これが、現在のキリスト教の礼拝で行われる聖餐(せいさん)の起源です。

受難 ― 逮捕と十字架

晩餐の後、イエスはゲツセマネの園で「父よ、できることなら、この杯(苦しみ)を取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、御心のままに」と苦しみながら祈ります。

そこへユダが手引きした者たちが現れ、イエスは逮捕されます。弟子のペトロは「あなたもあの男の仲間だ」と問われ、3度も「知らない」と否認してしまいました。

イエスは、ユダヤの宗教指導者やローマ総督「ピラト」の裁判にかけられます。明確な罪はないとされながらも、群衆の強い要求に押される形で、十字架刑が決定しました。茨の冠をかぶせられ、鞭打たれたイエスは、自ら十字架を背負って「ゴルゴタ」の丘へ向かいます。

十字架の上でイエスは、「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです」と語り、最後に「成し遂げられた」という言葉を残して息を引き取りました。キリスト教では、この十字架の死こそが、全人類の罪を身代わりに背負った「贖い(あがない)」であると信じられています。

復活と昇天

イエスの遺体は墓に葬られ、入り口は大きな石でふさがれました。ところが3日目の朝、墓を訪れた女性たちが目にしたのは、石が転がされ、空っぽになった墓でした。

その後、復活したイエスは弟子たちの前に繰り返し姿を現します。復活を信じられなかった弟子トマスが、イエスの傷に触れてようやく信じた、という逸話も有名です。

そして40日後、イエスは弟子たちに「全世界に行って、すべての人に福音を宣べ伝えなさい」という使命(大宣教命令)を与え、天へと昇っていきました。

この「十字架の死と復活」こそが、キリスト教信仰の核心です。そしてイエス昇天の後、残された弟子たちの物語が、次の使徒言行録へと続いていきます。

登場キャラクターの強さは? ― 最強ランキング

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まとめ

本記事では、新約聖書の中心である「福音書」4巻と、そこに描かれたイエス・キリストの生涯を解説しました。如何だったでしょうか。

ベツレヘムでの降誕に始まり、山上の説教と数々の奇跡・たとえ話、そして十字架の死と3日目の復活へ――。4人の著者がそれぞれの視点から描いたこの物語こそ、キリスト教信仰の核心であり、聖書全体のクライマックスです。

次回の記事⑥では、イエスが天に昇った後、残された弟子たちが教会を生み出し、福音が世界へ広がっていく「使徒言行録」を解説していきます。

【神話・宗教の原典解説】キリスト教の原典⑥:使徒言行録 ― 教会の誕生とパウロの伝道を解説senkohome.com/myths-religions-origins-christianity-nt-acts/

それでは次の記事も閲覧いただけると幸いです。